今夏、日本列島はまさに灼熱地獄。各地で連日35度を超える猛暑日が続いた。そんな中、8月16日、日本観測史上の最高気温を73年ぶりに更新する40.9度を記録したのが岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市だった。両市のゴルフ場は、この暑さにどう対処したのか?
猛暑の中のプレーというと、どうしても懸念されるのが熱中症だ。
熱中症とは体温を調整する仕組みがうまく働かなくなり、体温が著しく上昇した状態で、最悪の場合は死に至ることもあるというから恐ろしい。
事実、8月10日、埼玉県長瀞町の埼玉長瀞GCでは、68歳の男性がプレー中に突然倒れ、そのまま亡くなるという痛ましい事故も起きている。
史上最高気温を記録した8月16日、熊谷市の熊谷GCでは、普段の日と特に変わりはなかったと、同クラブの斉木政志さんは言う。
「内陸にある熊谷は、昔から夏の暑さで有名な所なのです。ですから、このくらいの暑さは当たり前なんですよ。この時期にプレーされるお客様は、皆さん、熱中症対策をきちんとやっていらっしゃいますので、ハーフでダウンした人はいましたが、それ以外は何の問題もありませんでした。暑いからといって当日キャンセルされた方もいらっしゃいませんでしたね」
これはパブリックの大麻生Gでも同じ。「お盆の時期はいつも1日で200人くらいの入場者がありますが、特に入場者が減ることもなく、お客様もペットボトルを何本も持ってくるなど、ご自分で対策を講じていたようです」(伊藤恒人さん)
とは言え、クラブ側の暑さ対策にも、もちろん抜かりはない。
氷をたくさん用意してスタートするゴルファーに配ったり、カートで常にコース内を巡回。万が一、体調が悪くなったゴルファーが出た場合には、すぐに対応できるよう配慮したという。
最近では情報が行き渡り、ゴルフ場にもゴルファーの側にも暑さ対策がしっかり考えられているということなのだろう。
多治見市の多治見CCでも、ゴルファーの自己管理が徹底、大事には至らなかった。同クラブの後藤義弘さんによると、
「16日は10組がプレーしましたが、例年お盆の時期はこの程度の組数で、特にこの日が少なかったということはありません。皆さん、ラウンドの途中での水分補給をマメになさっていたようですね。私どもとしては、お客様はもちろんのこと、キャディの体調も心配で、普段はお客様の前で水を飲んだりするなと注意しているのですが、この夏ばかりは例外で遠慮しないでどんどん水を飲みなさいと言いました」
猛暑の峠は越えたとはいえ、しばらくは残暑の厳しいことが予想される。前出・斉木さんも、こうアドバイスする。
「うちでも、暑さにやられてダウンするのは、20代や30代の若い人が多かった。若いからと過信したりするのは、絶対に禁物です。もし体に異変を感じたら、すぐにプレーを中断して適切な処置を取ること。それが大事ですね」。
楽しいゴルフが一転して悲劇にならないよう、肝に銘じておくべきだ。
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