フェデックスカップ(以下Fカップ)の第2戦、ドイツ銀行選手権で、P・ミケルソンが優勝したことによって、俄然、プレーオフが面白くなったと思ったら、今度はそのミケルソンがプレーオフ3戦目BMW選手権を欠場し、あっけなくT・ウッズの今季の賞金王が、ほぼ確定してしまった。賞金王の権威が揺らぐ一方で、その代わりとなるFカップの勝者の権威もまだ確立しておらず、どうとらえてよいのか、プレーヤーもファンも混乱の中にあるといっていい。
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賞金王はタイガーにほぼ決まりだが、その権威は?
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もともと、昨年Fカップが発表された段階では、プレーオフの勝者に与えられる1000万ドルのボーナスが、賞金に加算される予定であった。
となると、それまで地道に獲得してきた賞金が、4試合のプレーオフで大逆転というケースも考えられ、これまでの賞金王という考えが意味をなさないと考えられていた。
タイガーの賞金王がほぼ決定したというのは、9月3日時点のタイガーの獲得賞金が、834万7052ドルで、2位のミケルソンに、約266万ドル、3位のビジェイ・シンに386万ドルの差をつけたからだ。
まだ、タイガーに追いつく可能性は残ってはいるものの、ミケルソンはプレーオフの第3戦を欠場し、シンは全米プロとバークレイズで2試合連続予選落ちし、ドイツ銀行でも60位タイと、故障が噂されるほどの絶不調。
よほどのことがない限り、タイガーの賞金王は動かないことになる。
ミケルソンはプレーオフ第3戦のBMW不参加について、「PGAツアーを軽視しているわけでもなく、不参加が(ボーナスが賞金に加算されずに年金になったことに対するPGAツアーへの)メッセージというわけでもない。試合と自分のビジネス、そして家族とのバランスをどうとるか悩んだ末の結論で、簡単な判断ではなかった」と語っていたが、もともと、プレーオフ後のフォール(秋)シリーズの7試合には出場しない予定で、ミケルソンが賞金王になる可能性はなくなったと見ていいだろう。
実は、フォールシリーズに関して、当初PGAツアーは、「プレーオフで30位までのシードを決め、2008年のシードランキングの31位から125位のプレーヤーを確定させる」としていたために、フォールシリーズは、賞金ランキングの31位以下のプレーヤーで争われるものと思われていた。
このため、「8月、9月とほとんど休みなしで出場しなければならなくなったが、その代わり長いバケーションが取れる」とタイガーが語っていたように、トッププレーヤーの大半が、Fカップ後、プレジデンツカップを除いて、試合には出ないようなスケジュールを立てていた。
しかし、PGAツアーに問い合わせたところ「フォールシリーズは、通常の試合で、30位以内のトッププレーヤーも出場できるし、賞金も加算されるので、まだ賞金王の行方は分からない状況」(PGAツアー広報)というコメント。
だったら、プレーオフとはいったい何なのかということになる。
PGAツアーとしては、実質的にトッププレーヤー達が参戦しないフォールシリーズで、賞金王を決めることによって、フォールシリーズのスポンサーにも顔を立てる一方で、プレーオフの権威を高めようという意図があるようにも思えてくる。
しかし、そのプレーオフの第1戦のTV視聴率は、タイガーが出場しなかったこともあり、日曜日はわずかに2.1パーセントで、昨年比0.5パーセントしかアップせず、土曜日に至っては1.7パーセントで昨年と全く変わらなかったのだ。
第2戦のミケルソンの優勝で、盛り上がるかとも思われたが、そのミケルソンも第3戦不参加で、これも不発弾になってしまった。
いずれFカップの権威は高まってゆくのかもしれないが、現状では、その人気はさっぱりだ。
今週はプレーオフ最終戦のツアーチャンピオンシップ、その動向に注目したい。
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