多くのゴルフファンの目が石川遼に釘付けになっていた先々週末、広島で開催された地区オープンの中四国オープンで、同じく10代のアマチュア選手が居並ぶプロを相手に“優勝”の快挙を成し遂げていた。プロより強いアマチュア、一体どんな選手だろうか。
中国ゴルフ連盟と四国ゴルフ連盟が主催する中四国オープンは8月31日・9月1日の両日、広島のリージャスクレストGCで開催。
この春、高校(香川西高)を卒業したばかりの18歳、片岡大育(だいすけ)が見事優勝した。
優勝争いは片岡とシニアのトッププロ、三好隆(05年シニアツアー賞金王、56歳)が通算7アンダーでトップに並び、プレーオフへ。
年の差38歳の戦いが決したのは、実に6ホール目。
ともにバーディパット。先に片岡が約2メートルを沈めたのに対し、三好プロのパットはそれよりも短かったが、カップに蹴られて終戦。「最後は根負けです」と三好プロの敗戦の弁。
こうして1980年の倉本昌弘以来、大会27年ぶりのアマチュアチャンピオン誕生となった。
片岡は、これまで全国規模の大会での目立った成績はないが、驚いたことに、ゴルフを始めたのがわずか5年前、13歳のときという。
だが、3年後の2005年に日本アマ出場。さらに昨年は日本アマ(ベスト32)に続いて、日本オープン(44位タイ)にも出場。
短期間のうちにトップアマに成長したのだ。
そして、今年はプロを蹴散らす勢い。
現在、アマチュア資格を保持したまま、国内ツアーのQTを受験中(9月4日~6日の第2次QTを3位の成績で通過)。
片岡の実力をプレーオフで敗れた三好プロはどう見たのだろう。
「全体にまとまった、欠点のない選手ですね。何より、物怖じしない精神面の強さに感心した。石川くんもそうなんだろうけど、今の子はプロと回ってもまったく萎縮しないのが凄い。片岡くんも、既にプロテストに受かるくらいの力はあるだろうし、ツアーでもやっていけるのでは」
ただし、それには飛距離が課題となるだろうとも語るが、「まだ18歳だもん、これからいくらでも伸ばせるから心配ない。期待してあげてよ」と将来性を高く評価する。
片岡は、石川遼とあまり変わらぬ170センチ、65キロの小柄な体型。
本人も、ツアーで戦うには飛距離が課題となることは十分承知しており、目下、週に2~3度、筋力トレーニングに取り組んでいるという。
今回の勝利については、「プロとのプレーオフを最後まで集中して戦い抜けたことは自信になりました。周りからも、精神面の成長はほめられましたね」と語るが、「倉本以来の快挙」ということにはあまり感慨はないようだ。
ひと昔前はアマがプロに勝つことは快挙そのものだった。
勝てるアマといえば倉本、片山晋呉(水戸グリーンオープン)など大物アマしかいなかったものだが、今は”石川遼効果”でか、誰でもが勝てる時代になった。
片岡の、「目の前の目標、QT上位通過で頭がいっぱい」という今の気持ちもその表れといえる。
今秋は、出場資格を持つ日本オープンまでに、ツアー2試合のマンデートーナメントに挑戦する予定だ。
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