国内男子ツアーの問題点といえば、老舗サントリーオープンの撤退により、さらに現実性を帯びてきた来季ツアー規模の縮小だ。ところがそうした中、先日某スポーツ紙に来季ツアーに「トヨタ参入」の大見出しが躍った。これが本当なら男子ツアー界では久々のビッグニュースだが。
新聞報道によれば、トヨタがスポンサーとなる大会は、詳細は現在調整中だが、来年11月に、スポンサー競技としては国内最大規模の賞金総額2億円の大会を企画しているとのこと。
これについて、トヨタからの返答は「検討中です」(広報部)というのみ。
また、日本ゴルフツアー機構(JGTO)も「まだお申し込みをいただいていませんので……」と歯切れが悪い。ただしトヨタが否定しないことから察すれば、報道に沿った線で検討されているのだろう。
トヨタとゴルフの関係は、これまで国内ツアーではあまり目立ったものはなかった。
しかし、海外では米ツアーに転身してからの丸山茂樹の所属先になったほか、A・ソレンスタムなど多くのトッププレーヤーと契約を結んできた。
また、今年11月には新たにシニアの日米対抗戦「レクサスチャンピオンズチャレンジ」を開催。かつては英国で開催の世界マッチプレーのスポンサーだったこともある。
「もともとゴルフと車は、顧客層がダブっている業界。だからホンダ、日産に限らず世界中の車のメーカーがツアー、トーナメントのスポンサーになっています。サッカーでもトヨタカップ開催など、スポーツイベントには前向きですから」と、前置きするのは、日本自動車ジャーナリスト協会会員の高橋健二氏。
そのうえで高橋氏は、「今、トヨタが参入するとすれば、ひとつの狙いは石川遼くんの先物買いでしょう」と推測する。
さらには、JGTOがアジアンツアーや既に中国・韓国まで進出してきた欧州ツアーとの協力・提携を模索していることから、「いずれ中国・アジアでのシェア拡大に活かす狙いがあるのかも知れません」とも言及する。
その一方で、ツアーの某関係者は別の舞台裏を口にする。
「トヨタ参入の裏には、昨年JGTO理事に就任したトヨタ相談役(前会長)の奥田碩(ひろし)さんの強力な引き(尽力)があったようです」
そのうえ奥田氏は前会長であった日本経団連の財界人脈から、某大手電機メーカーの参入を促し、さらに某大手精密機器メーカーとも話を進めているというのだ。
これが実現すれば、サントリーオープン撤退の暗い話を払拭するに余りある。
実は、この話を裏付けるように、先日、選手会会長の深堀圭一郎プロが「ある2社にお願いをしていることは事実です。会社は、皆さんが知っている会社ということも事実です」と、大手企業の参入をにおわせる発言をしている。
一説に、利益1兆円企業のトヨタにとって、経費6~8億円程度のトーナメント開催は、さほどのビッグイベントではないそうだ。
そのトヨタの動向に、ツアー関係者は当分の間、一喜一憂することになりそうだ。
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