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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 10/16号
2007/10/4更新
こんな練習ってあり? 埼玉平成高の
打球事故、プロはこう見る

★★★ 先月21日、埼玉県毛呂山町の私立埼玉平成高校のゴルフ練習場で、コーチの打ったボールがゴルフ部員の額を直撃、陥没骨折の重傷を負うという事故があった。飛球線前方に部員を立たせての事故、プロはどう見るのか?


埼玉オープンでは遼くんと同組で回った岡田プロ(右)

 埼玉平成高校は89年の創部。13年連続で全国大会に出場している高校ゴルフ界屈指の名門校だ。

 今回、事故を起こしたコーチの岡田正志プロ(27歳)は同校OBで、2003年にプロ資格を取得。

 今年6月の埼玉オープンでは、初日に石川遼と同組でラウンド、最終成績では8アンダー2位と、石川(4アンダー15位)をしのぐ成績を残している現役のプロゴルファーだ。

 同校では04年4月から週に2回、部員を指導しているという。

 事故は、岡田プロが自らのボールの軌道を見せてやると、2年生の男子部員A君を自分の前方約70メートルの地点に立たせ、ドライバーを打ったことで起こった。

 同校の練習場は23打席あり奥行きは100ヤード。

 警察や学校関係者の調べによると、岡田プロはその左から5打席目から対角線上、すなわち右方向に構えて打とうとしたらしい。

 しかし、使ったクラブが自分のものではなく、部員からの借りものであったこと、さらに手袋をしていなかったこともあり、打球はミスショットとなって、A君の額を直撃したというわけだ。

 同校の金沢勝教頭は、

「絶対にあってはならない事故を起こしてしまい、被害者のA君には誠に申し訳なく思っています。岡田コーチは日頃から熱心な指導で、部員たちからも慕われていますが、今回はその熱心さが事故を引き起こしてしまったのかも知れません」

 それにしても、そもそも、自分の前方で打球の軌道を見せるという練習に効果はあるのだろうか?

 本誌でもおなじみのプロコーチ、井上透プロはいう。

全く意味がないし、どういう意図があってそんなことをしたのか、理解できません。第一、打つ人の前方にいてはいけないというのは、ゴルフの常識でしょう? それを破ったとなれば、軽率だったと言われても仕方ないでしょうね」

 また、レッスン上手で知られる小林一重プロも、

「何のメリットもない練習法ですし、万が一、メリットがあったとしても、そんな練習をやってはいけないですよ。だって、危ないじゃないですか、打つ人間の前に立たせるなんてことは。とにかく、信じられない事故ですよ」

 と、どちらも、本来の練習から逸脱したその行為を厳しく批判したが、それも当然だろう。

 一方、先日のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで2位と健闘した日下部智子プロは、同校のOGで岡田コーチの1年後輩に当たるという。その日下部プロも、

「前に立たせるなんて、バカなことをやっているなあと、それしか言いようがないです」

 と、呆れ顔だった。

 ともあれ、被害者のA君のケガが命には別状がないことが不幸中の幸いだったが、打球の直撃による事故は、全国のゴルフ場でもしばしば起きている。

 今回の事故では岡田コーチの指導法に行きすぎがあったこと、学校側の管理に問題があったことも事実だ。

 しかし、それ以上に、ゴルフをやる人間は「ボールを打つ人間の前には立たない」、その常識を今一度改めて、心に刻んでおくべきだろう。

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