全世界のゴルフ界でドライバーフェースの高反発規制、SLEルールが発効する2008年1月1日まで100日を切った現在、日米の08年ドライバー新製品発表に異変が起きている。今年は例年になく各社の発表が前倒しに早くなっているのだ。
高反発フェースのドライバーが規制された日米のゴルフクラブメーカーは、最大のセールスポイントである「更なる飛距離」を実現するドライバーの開発にやっきだ。
そのドライバー、今年の開発の目玉はナイキやキャロウェイが提案した「オフセンターショットでの飛距離ロスを最小限にする」異形ヘッドドライバーヘッドなど、慣性モーメント(MOI)を高めた製品だった。
この異形ヘッドが米国市場で注目が高まっており、08年新製品の多くにこの理論を採用したドライバーがお目見えしそうなのだ。
米国ゴルフ用品小売市場の統計をとっているゴルフデータテックの調査によると、今年6月、07年モデル高級ドライバー売上の半数以上は、高MOIを狙った幾何学設計モデルだったとの統計もあり、大手クラブメーカー各社は、この異形ヘッド人気を背景に、更に進んだ高MOIモデルを開発中だ。
PGAツアーでのプロトタイプテストをスクープしている米国サイトの情報では、今年初めには異形モデルの将来性に否定的だったテーラーメイドまでが、新しいタイプの異形ヘッドモデル「R7 CGB Max」なるモデルのツアーテストを実施しており、先発のナイキ他も同タイプのバージョンアップモデルがツアー会場でスクープされている。
米国市場では、大手メーカーに対抗して既に中堅メーカーのウイルソンや米国ミズノなども幾何学設計高MOIドライバーを発表しており、ウイルソンは幾何学形状ヘッドのドライバー「スパイン」を10月から発売するし、米国ミズノも「MX-560」という先端技術によりMOI値を最大にするユニークな設計の普及価格帯ドライバーを発表している。
日本国内では異形ドライバーは今ひとつ人気薄との判断から、ウイルソン、米国ミズノも日本国内発売は未定として、いまは様子見のようだ。
が、SLEルールが発効する来年からの買い替え対象候補として、これらの異形クラブが来春日本市場で発売されることも十分考えられる。
MOI対策モデルが目立つ08年モデルで見られるもう一つの顕著な傾向は、日米共に新製品発表と販売開始のタイミングが大幅に早まったことで、例年ならば年末に集中する大手メーカーの新製品発表が、今年は早くも夏場から始まり9月、10月にはピークを迎えていることだ。
そしてその内容は、上級者向け各社旗艦モデルはもとより、一般ゴルファー向けのSLEルール適合ドライバーを中心に、レディスやシニア向けに特化された本格的製品も含め豊富にラインナップされている。
これはSLEルール元年に発生するルール適合モデルへの買い替え需要を、他社に先駆けて獲得し市場シェアを拡大しようとするメーカーの思惑が08年度新製品の発表スケジュールを前倒しにさせたものと思われるが、今年はこのせいで小売店店頭の現行モデル値引き販売も例年より大幅に早まっているという。
消費者にとっては、これから発売される最新設計のドライバーを選ぶのか、それとも早々と値引き対象になった07年までの適合モデルを選ぶのかが、これからのSLE対策買い替えの選択肢となるだろう。
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