当初無名の選手ばかりでプレーされると思われていた米ツアーのフォール(秋季)シリーズ。観戦しても面白くない、などと囁かれてもいたが、先のテキサスオープンは、見ごたえがある試合だった。一つには、丸山茂樹が久しぶりに元気なところを見せる一方で、J・パーネビックを下して、地元出身のJ・レナードが優勝したからだが、もう一つには、この時期は来年のシード争いが白熱化してきていることが、盛り上がりの原因となっているようだ。
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ひと安心のデュバル(右)ともうひと踏ん張りの丸山
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いつの間にか消えてしまったが、当初は「クエスト・フォー・カード」と名付けられていたフェデックスカップ後の7試合の秋季シリーズ。
直訳すれば、「ツアーカードを求めての冒険」ということにでもなるのだろうが、つまりは、来年のシード争いのシリーズということ。
テキサスオープンで2年ぶりに11勝目を飾ったJ・レナードは、もともと賞金ランキング94位で、来年のシードをほぼ確定させていたが、この試合の優勝で41位と53人抜きの大躍進で当確。
一方、プレーオフで敗れたもののパーネビックは、「これまで21年プロ生活をしていて、一度も、ヨーロッパでもアメリカでもシードを失ったことがない。それだけに、目標とはいえないだろうが、当面の目的は、賞金ランキングの125位以内につけ、シードを取ることだった。1年限りの生涯獲得賞金によるシードは使いたくなかった。でも(今回の2位で)、ようやく残りの試合を気軽にプレーできる」と賞金ランキングを138位から94位に上げて、ほぼ来年のシードを確定させた。
一方、丸山はもうひと踏ん張りといったところだ。
テキサスオープンの11位で、ランキングは、145位から135位とアップさせ、151位以下に落ちることは、ほとんどなくなったが、ランキングの126位から150位というのは、出場優先リストでは、Qスクール(プロテスト)の合格者の30名より下で、試合には出場できるが、すべての試合に出られるわけではない。
丸山は、続くフライズドットコムオープンも62位タイに終わり、賞金ランキングを上げることができなかった。
確実なシードをものにするには、残り3試合で、もう一度ベスト10に入る必要があるといえるだろう。
また、パーネビックが語っていた生涯獲得賞金のリストでも、丸山は昨年末の時点では50位とこれが使える位置にいたが、現在は55位で、来年このカテゴリーで入るのは難しい。
来年のシードを手にするためにも、もうひと頑張りしてもらいたいものだ。
丸山が苦しむ中、その生涯獲得賞金で、今年のシードを取っていたD・デュバルが、もう1年カードを手にすることになった。
秋季シリーズの第2戦に出場したデュバルだが、これは、デュバルの妊娠中の妻のつわりがひどく、その看病と4人の子供のために、7カ月も試合に出ることが出来なかったとか。
これを理由にカードの延長を申しいれていたデュバルに対し、一度はデュバルの申し入れを拒絶したが、T・フィンチェムコミッショナーは、「医療免除」の規定を拡大解釈して、家族の病気も認めることにした。
デュバルは、「過去の実績を見てほしい」と理事会のメンバーでもあるD・ラブⅢに頼み込んだとも言われているが、シードを貰うことになったら今度は「(新たなカテゴリーの解釈ができたことで)皆から感謝されている」となにやら開き直っているふしもある。
同じく妻の病気で5月以降試合に出場していなかったダッドレイ・ハートも、デュバルと並んで来年のシードを得る事になったが、これで、余計に賞金ランキングの126位から150位のプレーヤーの出場枠が少なくなった。
このほか、来年のシードの当落線上にいるプレーヤーで、名の知られたところでは、139位のコーリー・ペイビン、148位のボブ・トウェイ、155位のリー・ジャンセンなどがいる。
まだまだ、米ツアーから目が離せそうもない。
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