先週、日本ゴルフツアー機構(JGTO)は理事会において、石川遼が既に獲得している09年末までのシード権について、石川遼側から出されていた1年間の「凍結」要請、つまり高校卒業後の10年までシード権を実質延長させることを認めないと決定した。それを受け、当初は早期のプロ転向が噂されていた石川遼だが、どうやら早急に結論を出すことはなくなったようだ。
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ブリヂストンオープンは予選落ちしたが
まだまだフィーバーは続きそう
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今後への様々な影響から結論が注目されていたJGTOの判断だが、結果は「年齢を理由に特例を認めることは著しく公平性を欠くことになる」(専務理事代行・山中博史氏)として、同凍結の要請を却下した。
これまで、石川遼には早期のプロ転向も噂されていた。理由は、現在のようにアマの立場で彼が希望する試合に出続ける限り、1試合につき数十万円は要する遠征経費をはじめ、用具代、練習費など、費用が家計に重くのしかかるからだ。
その点からすれば、プロ転向で得られるメリットは計り知れない。
だが半面、もともと目標としていたアマチュアの各タイトルは諦めなければならない。
また、ツアープロとなれば、プロアマ出場など果たさなければならない義務が増える。
当然、スケジュールはタイトになり、体がまだ完全に出来ていない若者にどれだけの影響があるのか。未知の不安は小さくない。
さらには、「日本オープンで一緒にラウンドした中嶋常幸から、アマチュアのタイトルを極めてからプロ入りしたほうがいい、と言われたことが心に響いたのかも」(報道関係者)という声も。
また、「日本オープンで予選落ちした週末、茨城県で開催されたジュニアの国際大会に応援で出かけています。そこで幼い頃からのライバルたちが、自分でバッグを担ぎながら必死にプレーする姿を見て、自分が立つべき足元を再確認したようです」といった心境にもあり、どうやらプロ転向はまだ先になる見通しだ。
そうなると、来年もツアー出場は限られた試合数にとどまり、それだけに出場する試合の注目度は俄然アップする。
そして、その点から急きょ対応に追われているのが、最終戦の日本シリーズだ。
それ以前に出場する三井住友VISA太平洋とダンロップフェニックスは、例年、大ギャラリーで、その受け入れに慣れている。
ところが、日本シリーズでは初日から1万人規模のギャラリーが入るようなことはしばらくなかった。
「同じ会場(東京よみうりCC)で開催される5月のワールドレディスでは、初日から1万人以上が詰め掛けた年がありますが、主催は同じ読売グループでも別の会社ですから」(運営関係者)。
そのため押し寄せるギャラリーやマスコミの対応準備に目下大わらわの状況という。
また、中継する日本テレビは大会史上初めて4日間とも放送することを決定。
さらに、石川遼の全ホール、全プレーをカメラで追うことにしている。
「遼くんの魅力のひとつに、カメラ映りの良さがあるんですよ。今は、どんなに強くてもカメラ映りが悪いとスーパースターにはなれない時代。しかも、こればかりは作ろうと思っても作れない魅力だけに、その存在は貴重なんです」と某テレビ局のプロデューサーは証言する。
それだけに、テレビ局をはじめ各映像メディアが、数少ない彼の出場試合を逃すまいとするのは仕方のないところ。
遼くんフィーバーは確実に来年も続きそうだ。
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