日本オープンといえばお約束の厳しいラフと速いグリーン。選手もそれ相応の覚悟と対策で臨むものだが、今年のグリーンには多くの選手が悲鳴をあげた。しかも2日目にはその速さが変わるなどしたが、その訳は……。
とくに初日、速さをあらわすスティンプメーターはJGAの予定値10フィートを大きく上回る12.5フィート、超高速グリーンが選手の前に立ちはだかった。
「経験したことがない速さ」「上につけたら怖くて打てない」
なにしろツアーで1、2を争うパッティングの名手で、大会2勝目を飾った谷口徹ですら初日は3パットを2回打って、3オーバー75。
初日全選手の平均ストロークは76.21、平均パット数29.605は、翌週ブリヂストンオープン初日の同71.647、28.754と比べれば、いかに難しいコースだったかが分かる。
ちなみに昨年の霞ヶ関CCで行われた日本オープンでは、4日間を通じて10.5から11フィートの速さに収まっており、今年のグリーンは特別で、これが白佳和の初日“棄権”事件の遠因になったともいえる。
「グリーンが速かったり、ラフでボールを探す選手がいたりして全体的にプレーが遅れていました。競技委員にせかされたのか急に前が空いて、僕らも走ってプレーしたのにいきなり1ペナを宣告されてしまって」(白佳和)
さらに選手を戸惑わせたのは2日目にグリーンが遅くなったこと。
スティンプメーターの数値は10・5フィートと2フィートも下がった。
「2日目は明らかに変わりました。遅いスタート時間だったので芝が伸びたせいもあるんでしょうけど」(武藤俊憲)
これについては、初日に出遅れた石川遼も困惑。
これでプレーのリズムが変わったことは否めない。
、JGAに他意はなかったにしても、選手に影響を与えたとはいえる。
「確かにスティンプメーターの数値は出ていましたが選手のプレーを見ても感覚としてはそこまで速くはなかったのと思います。ただ水曜からグリーンが硬くなり始めて、さらに好天が続くと予想されていたので、あれ以上速くなると予定していた位置にカップが切れなくなる可能性がありました。また、芝も限界に近かったので2日目は散水し、ローラーの転圧をやめました」
実際のところ、他の選手が“遅いグリーン”で2日目のスコアを伸ばしたため、石川は結局予選落ちした。
最終日には茶色く変色しかけた箇所も見られたのでJGAの処置は適切だったとはいえ、石川遼には残念な結果となった。
一方、コースのセッティングに関しては、天候不順の中、あそこまで仕上げたことは評されるべきだろう。
「直前に雨が多く、硬さを出すのには苦労しました。砂を入れるだけではだめなので試合の週も送風機を回し続けました」(相模原GCコース課・浅井栄作氏)。
その結果、試合は「優勝スコアを4アンダーか5アンダーで止められればいいと思っていた」(同氏)通りの展開。
選手の間から「セッティングはフェアですごくよかった」(宮瀬博文)という声が出てくるのも当然だ。
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