先のサムスン選手権に久しぶりに姿を現したミッシェル・ウィ。相変わらず、強気というか能天気な発言を繰り返していたが、普通の女子大生のような顔も覗かせていた。出場20人中19位、BB賞に沈んだウィの今は?
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精神的に強くなったとはいうが……
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この試合の初日(11日)、18歳の誕生日に79のスコアを叩いたウィだが、なにをするのかと聞くと
「家に帰って勉強するわ。いっぱいしなくてはならないことがあるの。とにかく1冊本を読まなくてはならないし、きっと楽しい誕生日になると思うわ」と語っていた。
ウィは、9月からタイガー・ウッズが通っていたスタンフォード大学の1年生になっていたのだ。
大学では、寮に住みながら、人文科学のコースをとる一方、今は日本語と数学を学んでいるという。
「寮の同室の子と気が合って助かった。(勉強が)大変だけれど、本当に楽しいわ」と大学生活をエンジョイしているようだ。
ただ、タイガーの大学時代と大きく異なるのは、ウィはゴルフ部やゴルフチームに属していないことだ。
大学には、ゴルフコースがあるが、ウィがプレーするには、普通の在学生のように25ドルを支払わなければならないし、唯一特別待遇と思われるのは、練習場でゴルフ部の選手用の場所で練習できること。
しかし、それもゴルフ部のプレーヤーがいないときだけで、1日約2時間の練習をしているとか。
「彼女はアマチュアでもなければ、もちろんチームのメンバーでもない。だから、正式な練習中は、ドライビングレンジでも、ゴルフコースでもチームのメンバーが彼女と話すことも禁じられている」と語る、スタンフォード大学の女子ゴルフチームのキャロライン・オコーナー・コーチは、
「彼女がここで(普通の)学生として成長できることを望んでいる」と付け加える。
かつて、タイガーが在学中にアーノルド・パーマーから、食事をご馳走されたことがあったが、これが大きな問題になったほど、アメリカの大学運動部は、厳しいアマチュア規定を設けており、プロ宣言をしているウィは、当然、ゴルフ部に入ることができない。
つまりは、学生生活と勉強に忙しく、十分な練習もままならない状況なのだ。
大学の近くに家を構えた両親が、2時間のゴルフの練習の際には頻繁に顔を出しているが、そのほかの時間は、親離れができたことが、ウィにとっては良かったのではないかという見方もある。
そういう意味では、ウィ自身は大学生活を謳歌しているともいえる。
サムスンの方は、結局、79-79-77-71のスコアで、優勝したオチョアに36打差のブービー。
「しばらくトーナメントから遠ざかっていたために、勘を取り戻すのに、思っていたより時間がかかってしまった。でも、最後まで戦い抜いた自分を褒めたい気持ちだし、今日(最終日の71)は、パットも入り、ポジティブに考えられるわ」とコメント。
今年のウィは、21ラウンドして、平均76.7ストロークという有様だったが、それに関しては、
「怪我をもっとシリアスに考えるべきだった。自分が試合に出たかったのだから仕方がないのだけれど、本来、今年はプレーすべきではなかったのかもしれない。でも、それで私は(精神的にも)強くなった。だからこれからが楽しみ」
とウィは語るが、その一方では、
「(プロテストを受けなかったのは)、テストの日程が、大学のオリエンテーションと重なり、オリエンテーションにはどうしても出たかったから、どうにもならなかった」とも語る。
ナイキと大型契約をして、プロになった以上、試合に出ないわけにはいかないのだろうが、今年の成績では、来年どれほど試合が彼女に”招待”を与えるのかも分からない。
となるとこのままでは、ゴルフのうまい普通の女の子になってしまう可能性も出てきたといえる。
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