このほど防衛省の守屋武昌前次官が防衛専門商社の「山田洋行」(東京都港区)から、約8年間でニ百数十回ものゴルフ接待を受けていたことが発覚、異常な接待を受けていた舞台が「ゴルフ場」ということもあり、連日のニュースで「ゴルフ」が、悪事の代名詞のように語られている。だが、本当に「ゴルフ」は悪いのだろうか。
約10年ほど前に起きた官官接待などによる大蔵省不祥事は、「ノーパンしゃぶしゃぶ」の供応、海外旅行やゴルフ接待が大きな社会問題となって現れた。
この大蔵省の不祥事を受けて、議員立法により法制化し、平成12年4月に施行されたのが「国家公務員倫理法」だ。
この法の中に国家公務員倫理規定が設けられており、禁止行為として「利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること」が記されている。
これに準拠する形で、自衛隊員倫理法の中にも、倫理規定が設けられている。
どちらの規定にも、禁止行為として「ゴルフ」という言葉が明確に記されているが、なぜゴルフだけが目の仇にされるのか。
同法の監督機関としての国家公務員倫理審査会にこの辺の経緯を聞いてみた。
「この法や規定ができる以前から、国家公務員が利害関係者から過剰な接待を受け、その典型例としてゴルフ接待や接待旅行があった。こうした行為は国民から不適切な関係にあるのではと、疑惑を招く恐れがあるから禁止されているのです」
同会では、当然ながらゴルフ自体が悪いのではなく利害関係者とのゴルフが悪いという認識を示す。
ゴルフを諸悪の根源のように見る同法について、倫理規定の禁止行為から「ゴルフ」という言葉を削除するよう運動しているのが自民党のゴルフ振興議員連盟だ。
同議連の関係者は今回の事件についてこう話す。
「誠に残念だ。今春、所属議員一丸となって官房長官に削除の申し入れをしただけに、冷水を浴びせるようなもの」
今回の事件で悪質なのは、守屋氏がこの規定が施行された平成12年以降も平然とゴルフ接待を受けたことだ。
同氏の妻も頻繁に加わり偽名まで使ってプレーしている。
更に同氏が同規定を守らせる倫理監督官でもある事務方トップの事務次官に就任した平成15年8月以降も続けられていたことだ。
山田洋行関連会社が経営する埼玉県と千葉県のゴルフ場でのプレー代は、ビジター料金で1人当たり2万5000円程度。
同夫妻は会員権を持っていなかったが、1人8000円の会員料金でプレーできたという。正規料金との差額は総額で数百万円に上る。
今回の事件、評論家の大宅映子氏はこう憤る。
「また出てきたか、というのが最初の感想。やっぱり日本のゴルフは変。ゴルフの神様に失礼だ。女性ゴルファーも増え、遼ちゃん効果も出てきている最中、イメージダウンは避けられない。何てことをしてくれたのか」
今や国民スポーツになっているゴルフだけに、官僚や公務員の諸氏は襟を正し、紳士のスポーツを汚さないで欲しいものだ。
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