4大メジャーの勝者が集まるグランドスラム・オブ・ゴルフ。PGA・オブ・アメリカ(以下PGA)の主催するこの試合ではA・カブレラが優勝。試合の方は、見応えがあったが、タイガー・ウッズが不在のために、今ひとつ盛り上がりに欠けた。全米プロに優勝したウッズだけ欠けるとあっては、PGAの面目丸つぶれ。この間、ウッズが何をしていたかというと、家族サービスとサイドビジネスに専念していたようだ。
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稼ぎすぎはゴルフ界によくない?
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「ゲータレード・タイガー」というのは、来年3月に発売が予定されているスポーツ飲料。
今秋、ゲータレードとの契約を発表したウッズだが、これまでのメーカー契約と異なるのは、タイガーの名前を全面に打ち出したライセンス契約であること。
「飲料に関しては、ただ、宣伝をする契約はやりたくなかった。私たちは、タイガーの最初のライセンス契約としては、これが最高のものだと考えている」とマネジャーのマーク・スタインバーグ氏は語る。
つまりは、タイガーの名前がついた飲み物ができるわけで、タイガーの好みに合わせて、チェリー、シトロン、グレープ味のスポーツドリンクが、続々発売される予定という。
飲料としては、日本のアサヒ飲料の缶コーヒーが、ウッズと契約していたが、今回の契約は、ライセンス契約ということもあって、5年間で1億ドル前後になる模様とか。
ウッズは、このほか、ナイキ、自動車のGM(ビュイック)、金融のアクセンチュア、髭剃りのジレット、ビデオゲームのEAスポーツなどと契約しているが、こうしたスポンサー契約をすべて含めると年収1億ドルにも達する模様だ。
米ゴルフマガジン誌のウェブサイトによれば、過去11年年間のプロ生活で、ウッズは7億1000万ドルもの契約金を稼ぎ出しているとかで、これにツアーの獲得賞金などを加えれば900億円を越える収入があった。
さらには、ウッズのPGAツアーでの年金は10億ドル。もう、一生金に困ることはない。
なにやら天文学的な数字で、ピンとこないが、そんなに金があるのに何でいまさら、もっと稼ぐ必要があるのか? と考えられているのがウッズのコース設計だ。
ドバイのゴルフコースの設計料は1000万ドルと噂されていたが、先ごろ発表されたサウス・カロライナのザ・クリフスというゴルフコースの設計料は、なんと2000万ドル前後になると、米リンクスマガジン誌が伝えているのだ。
これは、ゴルフ場に隣接する不動産販売の報奨金などを含めた金額ということだが、トム・ファジオやピート・ダイ、ジャック・二クラスといった一流の設計家のデザイン料は、200~250万ドルといわれており、「従来のもっとも高額な設計料のほとんど10倍」(リンクス誌)ということになる。
二クラスの記録を追いかけるウッズによれば、「知っての通り、僕は完全主義者。誰もがすぐにまたプレーしたくなる」ようなコースをじっくり作る計画とかで、二クラスのように300コースを越えるような数多くのデザインをするつもりはないようだ。
手間隙をかける分、設計料も高くなるということらしいが、2000万ドルといえば、従来であれば、この金額だけで、アメリカではちょっとしたゴルフコースが作れる予算。
日本の設計家の100倍近い金額だし、今の日本ならゴルフ場も買収できる金額だ。
かつて、ナイキとウッズが契約した際、そのあまりにも高額な契約料に驚かされたが、それにつられて、ビックネーム達のクラブ契約が軒並み倍増し、中小メーカーでは払いきれないなどという現象が起こった。
同様に、トップデザイナーの設計料が、倍増するようなことになれば、ひいては、グリーンフィも大きく値上がりするようなことにもなりかねない。
タイガーがスポンサーから、超高額契約料を手にしても一般ゴルファーには「そんなの関係ない」。
しかし、ゴルフ界の中で、あまりに金儲けに走ると、最終的には自分の首を絞めることにはならないのだろうか?
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