この数年、慣性モーメント増大目的で大型化が進行しているクラブヘッド。この動きはパターヘッドにも顕著で、特にキャロウェイゴルフのオデッセイ2ボールパターが大ヒットして以来、大型ヘッド化が進んでいたパターヘッドデザインに変化の兆しが現れてきている。
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左・ピン・クレージーモデル 右・ナイキICパター20-20
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ドライバーのSLE規制が引き金となって、クラブヘッドの慣性モーメントを高める設計が主流となっている。
メーカー各社が次々に発表する来年度新製品を見てもこの傾向は更に勢いを増しているようだ。
しかし、同時に発表されるパター新製品を見ると、ヘッドの大きさはむしろノーマルサイズへの回帰現象が始まっているようだ。
もともとルールによる規制条件のゆるさから設計の自由度が高いパターヘッドは、2001年に発売されたオデッセイの2ボールパター以来、このヘッドデザインコンセプトに追随するメーカーによる大型ヘッド化の波が、ウッドよりはるかに早い速度で押し寄せていた。
ところが今年の後半以降、各社が発表する08年モデルの新製品パターを見ると、そのサイズは大きくなるのではなく、むしろリーズナブルなサイズになっているようだ。
ヘッド形状は、各社独特のデザインを施しているが、ヘッドサイズが団扇のように大きなパターは姿を消したのだ。
例えばピンゴルフが来年度モデルとして発表したクレージーモデルや、テーラーメイドのロッサAGSI+モデルに見られるように、むしろコンパクトなヘッドサイズが主流になっており、ナイキゴルフが最近発表した新製品、大型マレットパター(IC 2020)もサイズは控えめで、むしろゴルファーの狙いやすさを改善する光学的色カラーリングを特徴にするなど、むしろ慣性モーメントよりもパターのアラインメント(目標合わせ)機能を重視する方向に設計の重点が移ってきている。
確かに大型ヘッドにはストロークを安定させるというメリットはあるものの、1メートル程度のショートパットではむしろ狙いの正確さが求められる。
つまりゴルファーが望むパターへのニーズ、"正確な狙いと安定したストローク"を満たすためには、ほどほどの大きさにダウンサイズした方が良いとのメーカーの反省と結論がこの傾向を生み出したと推測される。
そういえば最近のツアーで使われているパターを見ても、大きなヘッドのパターを使っているプレーヤーは少なくなり、むしろノーマルなサイズのパターが増えたことに気がつく。
国内大手クラブメーカーの開発担当者も「確かに最近プロの要求が、扱いやすいダウンサイズ方向に如実に変化してきており、現在開発方向に修正を加えているところです」と話す。
どうやら08年モデルの主流パターヘッドサイズは、ほどほどの大きさに戻る原点回帰現象が見られることになりそうだ。
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