残念! だけど、おめでとう! そんな複雑なリアクションを呼ぶ結果になったのが、先週米ツアー戦で2位タイと惜敗した丸山茂樹だ。わずか1打差で米ツアー4年ぶりの優勝を逃したものの、40万ドル弱の賞金を獲得して8年連続となる来季のシード権を確定させた。今回のシード権確保は、マルちゃんにとっては大きな意味があったようだ。
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まずはひと安心のマルちゃん
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丸山は2000年に、米ツアーにフル参戦して以来、賞金ランキングは02年の16位を最高に、05年まで連続で40位以内をキープ。
だが、昨年は頸椎の持病が悪化し、ランクも79位まで下げた。
その故障はオフのインナーマッスルを中心としたトレーニングで何とか抑えたが、今季は夏に左ひざを激痛が襲った。
ガングリオン(良性腫瘍)が大きくなったためだ。
それでも、フェデックスカップのプレーオフ進出(144位まで)がかかったレギュラーシーズン最終戦で7位の好成績をあげ、ポイント162位から140位に上げて、プレーオフに滑り込むことができた。
残念ながらその初戦で敗退したが、さっそく左ひざを手術。そして、シード権争いの場となるフォール(秋季)シリーズに臨んだ。
そこでも序盤は不振。だが、ラス前のギン・シュールメールクラシックで4年ぶりのツアー優勝に1打及ばぬ2位タイに。
結果、40万ドル弱を獲得し、そこまで獲得賞金が55万ドル余でランキング137位だったのが、103位までジャンプアップ。125位までの賞金シード権を一気に決めてしまった。
土壇場で2度底力を見せたマルちゃんだが、実は終盤ではこれまでにない弱気を見せ、周囲に「もう諦めて日本に帰ろうかな」ともらすこともあったとか。
それでも最終的に闘志を失わなかったのは、周囲の支えはもちろんだが、09年シーズンまではシード権をキープしたいという目標があったからだ。
そのとき丸山は40歳で、米ツアー在籍(ツアーカード保持)10年。
ひとつの区切りとなるだけでなく、「ジョーさん(尾崎直道)の上を目指したかった。少しでも米ツアーでの(日本人)記録を作りたい」と本人が口にするように、直道の米ツアー在籍期間(93年~01年までの9年間)を上回ることになる。
また、それにあわせて60歳から支給される米ツアーの年金も巨額なものになる。
その額、かつて丸山が発言したところでは20億円超にもなるそうだ。
ところで、1試合早く切り上げて帰国する丸山だが、国内ツアー参戦は「予定どおりダンロップフェニックスとカシオワールドです」(所属事務所)。
シーズン前、丸山はできるだけ早くシード権を確定させて、日本ツアーでも多くプレーしたいと語っていた。
それはかなわなかったが、彼の国内ツアーを盛り上げようとする気持ちは強い。
所属先のトヨタにツアーのスポンサードを強く働きかけ、そのお陰で同社の来季ツアー参入が実現したと伝えられる。
一方、米ツアー最終戦の結果が気になるのが、もう一人の丸山こと、大輔プロだ。
10月29日現在146位のランキング。125位入りを逃し、126位~150位にとどまれば、ツアーカードは維持するも、来季はより優先順位が下位のシード権となり、出場試合数が限られてしまう。
反対に活躍が光ったのが、チャンピオンズツアー(米シニアツアー)の尾崎直道だ。
今季はしばしば優勝争いに加わり、結果90万ドル余を獲得して賞金ランキングは19位、上位30位までの賞金シードを自力で獲得したのだ。
日本人選手としては青木功に次いで2人目の快挙だった。
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