大学日本一を決める団体戦・信夫杯学生ゴルフが千葉CC梅郷C(10月25~26日)で開催された。昨年は男子優勝、女子準優勝の東北福祉大の強さが際立ったが、今年は様相が違った。
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左から服部、佐伯、原。今が旬の3人をもっと見たい……
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男子は昨年同様、日本オープンでローアマを獲得した池田勇太らの活躍で東北福祉大が大会5連覇を達成。
しかし、女子は8位と惨敗した。
今年女子ツアーでブレークした佐伯三貴(23)と原江里菜(19)の抜けた穴が大きかった。
その佐伯はいま4年生、フジサンケイで初勝利を挙げ、全英リコー女子オープンでは7位と大健闘。
現在、賞金ランキングは10位につけている。
2年生の原はライフカードで2位など、同ランク19位。
この成績なら、最終戦のリコーカップ(同25位以内)は出場できる。
だが原はQT44位のため全試合には出場できず、今週の伊藤園のように“通常の試合”ではマンデー(予選会)から出場しなければいけない。
リランキング制度がないため、いまが旬の選手が、試合に出られないというネジれ現象が起きているのだ。
昨年信夫杯に優勝した名古屋商科大は2年生の服部真夕(19)が抜けて4位に転落してしまった。
今季プロテストトップ合格を果たした服部はマスターズGCで3位に入り、日本人で初めて、プロテストトップ合格者が来季のシード権を確実にした。
「まさかこんなに早く達成できるなんて」と照れる服部は、岡本綾子がその才能を認めるほどの逸材だ。
このように現役女子大生プロの出現によって、学生ゴルフ部の勢力図が変わったわけだ。
女子団体の部で優勝したのは、創部50周年の法政大学。
今年、日本女子アマを制し、信夫杯の前に行われた(10月23~24日)個人戦の朝日杯で優勝した綾田紘子に加え、本誌連載「GOLULU」に登場する美人学生、中田春加がメダリスト(最少ストローク)の活躍でチームを引っ張った。
彼女たちは佐伯や、服部のように女子大生プロが注目を浴びる中、プロ転向を考えているのか? 3年生の中田は「プロテストもQTも受けたいんです。でも落ちた場合に、その後の学生の試合に出られなくなるので……」。
今年4月から日本学生連盟は、増加する女子学生のプロ転向に歯止めをかけるために、学生ゴルフに規定を設けた。
もちろん、思い切って大学を中退するという選択肢もある。
服部と同じ名商大を中退した土肥功留美(22)は「大学生活に憧れて入学したけど、中途半端に練習していてはプロになれない」とプロ1本に絞った結果、大塚家具で3位に入り、来季シード権獲得ラインをクリアした。
九州東海大4年の青山加織は昨年QTに失敗しても、学生ゴルフを捨てて、プロ転向の道を選んだ。
プロになりたければ、中退するか、プロにすべてを賭けるか。
学生に選択肢は少ないのが現状なのだ。
プロ転向を選択した原は、「自分がQTを頑張ればよかっただけで、QT順位が終盤戦で出場できるようにリランキング制度を設けるとか、あるいはまた学生の規定にもっと柔軟性をもたせたほうがいいと思います」という。
現役でプロになる夢に挑戦して、一度でも失敗したら、学生ゴルファーとしての夢を絶たれてしまう規定。
自己責任といわれればそれまでだが、この制度に疑問を抱く選手も少なくない。
この規定、まだ考えるところはありそうだ。
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