流通、生保、金融など、今さまざまな業種で生き残りを賭けた企業同士の業務提携が活発に行われている。もちろん、それはゴルフ業界でも例外ではない。今年、業界で最も話題を集めたのは、保有コースの相互利用、人材交流や運営ノウハウの共有などを目的とした東急不動産と太平洋クラブとの業務提携だ。この大手2社の提携はどういう効果があったのだろう。
「太平洋クラブさんとの提携によって昨年に比べて来場者が7.4パーセントアップするなど、明らかにいい効果が出ています」(東急不動産広報担当者)
東急不動産では、自社の会員約1万7000人に加え、提携以来、3カ月に一度、太平洋クラブの会員1万9000人にゴルフ場とリゾートホテルの優待券を送っているそうだが、同社と太平洋クラブを合わせると、優待券だけでも年間で45万枚以上送付することになる。
この数字はゴルフ場の割引・優待券としては史上最大規模。
それだけに双方で集客効果があったということだ。
この他にも、ゴルフ業界ではさまざまなスタイルの業務提携が行われている。
例えば、アコーディア・ゴルフとSRIスポーツは、ゴルフスクール事業で10月から共同企画を展開している。
これはSRIスポーツの展開するダンロップゴルフスクールへ新規入会するゴルファーに、アコーディアの運営するゴルフ場での無料コースレッスン1回を提供しようというもので、コースレッスンを早い段階で経験させることでコースデビューへの障壁をなくさせようというのがその狙いだ。
アコーディアは、ほかにもゴルフパートナーとも提携している。
アコーディアが発行するポイントカードの所有者がゴルフパートナーを利用した場合、クラブ買取価格がアップするため所有者のメリットが高まるとし、また、ゴルフパートナーでは、この提携によりクラブ買取数を増やすことができるとしている。
また、アコーディアの提携先であるSRIスポーツでも、パシフィックマネジメントとの提携を発表、両者は、この提携によって魅力的なクラブライフの提供と効率的なゴルフ場運営が可能になるとコメントしている。
今後も、こうしたゴルフ場とスポーツ用品メーカーとの業務提携はさらに増えそうだが、最近ではゴルフ場間の交流も盛んになっており、例えば、神奈川CC(神奈川県)と伊香保国際CC(群馬県)が6月の圏央道開通を機に、両者のアクセスがよくなったことを受けて会員の相互交流を実施、それぞれの会員が相手のゴルフ場を会員並みの料金でプレーできるようにした。
さらに、姉妹都市になっている香川県高松市と北海道帯広市では、両市の観光団体の仲介により、両市内及びその周辺のゴルフ場(高松側8コース・帯広側5コース)の交流事業協定を締結した。
それぞれ観光の一環としてゴルフを利用しようという考えだが、地域での交流は、他にもある。
群馬県の浅間・白根を望む標高1000メートル以上に位置する8つのゴルフ場では今年8月1日から9月30日まで「浅間・白根ゴルフリゾート・スタンプラリーエイト」を実施した。
これはプレーの際に参加費1000円を払ってエントリーすると、8コース制覇で先着40人にドライバーがプレゼントされるというもので、暑い夏場の企画だけに多くの参加者を集めたという。
ゴルフ場の倒産が相次ぎ、どこも生き残りを模索している中、今後も業界内の業務提携はもちろん、異業種との提携もますます活発になるだろう。
それだけに、思わぬ援軍がゴルフ業界を救ってくれるということもあるかもしれない。
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