先月31日、イギリスのR&Aは08年ゴルフ規則改訂に関するリリースを発表した。今回は「プレーについての規則」では全34条中、28条において改訂が加えられる大幅なものとなったが、さらに「アマチュア資格規定」でも注目される改訂が行われた。アマチュアの活動に対する規制が大幅に緩和されたのだ。
発表されたリリースの冒頭、R&Aは「アマチュア資格規則を改正し、優れたアマチュアゴルファー(エリートアマ)がゴルフの普及・振興を支援することを認めるようにする」と表明している。
具体的にはアマチュア資格規則6-2「氏名や肖像の使用」の条文に、新たに「例外」が加えられ、「手腕や名声のあるアマチュアゴルファーは次のことを普及するために氏名や肖像が使用されることを許すことができる」として、国、地区、都道府県のゴルフ協会、あるいは統轄団体の認めるもので、(1)ゲームの発展の利益となったり、寄与したりするものとみなされるゴルフ競技や他のイベントや、(2)公認されたチャリティ(あるいは類似の正当な理由のあるもの)としている。
ただし、その場合も「直接的であろうと間接的であろうと、支払い、報酬を受けたり、金銭的利益を得てはならない」と但し書きが付されている。
「大幅な規制緩和です。従来はこの例外規定がなかったので、例えば、普及のためのイベントであってもそのポスター等に肖像が使用されたとき、その結果、アマチュアゴルファーが私的な便宜を受けることになる(名声をより高める、より権威を得る)と判断されれば、規定違反が問われました」(日本ゴルフ協会=JGA事務局)
しかし、来年からはJGA等が認めたイベント等であれば、その宣伝・広報等に氏名・肖像を使用させることが認められる。
「これはゴルフの普及途上国に対する配慮です。プロゴルファーがいないような途上国で普及を進めるには、こうしたアマチュアの利用を認めないと、有効な普及活動はできませんから」
と解説するのは、「ゴルフ規則」に詳しい某JGA関係者だ。
もちろん日本でもトップアマの氏名・肖像の同種の使用が認められる道筋ができたのだが、その都度、JGA等の承認を得なければならないので、手間としては従来と余り変わらない。
さらに、「ゴルフの普及・振興を支援する」という点では、イベント等での氏名・肖像の使用より有効と思われる執筆について、それを規制する規則6-4「放送と執筆」は従来のままだ。
すなわち「ゴルフに関する放送を行ったりゴルフ関連記事や本を執筆して、報酬や私的な便宜を受けたり、金銭的な利益を得ることができる」のだが、その場合も「ゴルフ技術の指導」を含まないことが条件。
技術指導禁止の背景には、それで報酬を得ては、結果的にプロの職域を奪うことになるからだ。
それに対して、ある現役トップアマは「許されるのであれば、ゴルフへの私なりの恩返しとして、技術本ではなく、競技への臨み方とかプレーヤーとしての内面を紹介する本を書いてみたい」と語る。
実際、そうした依頼はこれまでもあったのだが、慎重に対処してきたという。
JGAでは、著作もその都度内容を協議し、違反があればアマ資格を剥奪するという。
しかし、一般読者にとっては、トップアマのゴルフ本には、その技術論も期待したいところだ。
それが緩和される可能性はないのだろうか。
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