ゴルフ用品業界に激震が続いている。ゴルフ界の名門と称されているマグレガーゴルフがオーナー交替を発表した。会長に就任したのはグレッグ・ノーマン。だが、そのノーマンの名を冠し、発売予定だったウェアが発売延期。マグレガーに何が起きているのか。
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ノーマン会長就任でマグレガー再生なるか?
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マグレガーゴルフは、去る10月22日、大株主であるサンカティ・アドバイザーズ、G・ノーマン、ゴードン・P・ゲッティ・ファミリートラストの3者による資本の再構築が完了したと発表した。
今回の措置は、9年間陣頭指揮をとったオーナーのバリー・シュナイダー氏が退陣し、3者が共同で経営を支えるというものだ。
マグレガーゴルフといえば、110年の歴史を有するクラブメーカー。ジャック・ニクラスら幾多の名プレーヤーを擁しメジャー90勝を挙げた名門。
パーシモンの時代、当時としては革新的なクラブをいくつも生み出し業界に君臨してきた同社だが、メタルからチタンへと時代が変遷する中で次第に存在感が薄れていった。
1998年から経営に参画したバリー・シュナイダー氏は、自ら陣頭指揮に立つべくCEOに就任した。
同氏がテコ入れ策として目をつけたのが、マグレガーゴルフジャパンが独自開発し、日本でベストセールスを記録した『マックテックナビ』だった。
そして、マグレガーゴルフジャパンをサントリーから買収、開発責任者を本社副社長として招き入れ、米国主導のグローバル商品として開発されたのが『ナビG』や『ナビNX』だった。
しかし、日本で大成功を収めたナビシリーズも米国では苦戦を強いられた。
「マックテックは違うブランドとしてとらえられ、テクノロジーだけでは保守的なマグレガーファンに受け入れられなかった」(マグレガーゴルフジャパン・松下健氏)
シュナイダー氏の後任CEOは新たに選任されるが、ビジネスを手広く行い、クラブにも詳しいノーマンが取締役会の会長に就任するなど、経営の主導権を握る。
ノーマン氏が目指すのは、コンベンショナルなモデルを柱とし上級者向けのプレミアムなブランドを再構築することだ。
「ニクラスのアイアンを削っていたクラフトマンも健在で、まだまだいいクラブを作れるはず。将来的には日本で発売する可能性もある」(松下氏)。
さらに、新生マグレガーの看板として、『ターニー』など往年のブランド名も復活しそうだ。
もちろん『マックテックナビ』がなくなるわけではない。
今月末には『マックテックナビNX』2008モデルの発表も控えており、日本を中心とするアジア市場では引き続き同シリーズが主力となる。
一方、来春予定されていたG・ノーマンブランドのアパレルの発売は経営資源をクラブに集中させるため見送られた。
同社の世界戦略の目論見は外れたが、原点回帰という見方もできる。
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