5900の会員に430億円の預託金、負債総額504億円。超一流企業を会員に抱え、群馬県初の法人会員専用コースとして知られる、伊香保ゴルフ倶楽部岡崎城コースの経営会社・(株)伊香保ゴルフ倶楽部が、11月2日民事再生手続きの開始を申し立てた。巨額の負債を抱えたゴルフ場経営会社の破綻はほぼ出尽くし感がある中で、なぜいま再生手続きなのか。
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バブル期は法人に人気だった伊香保GC岡崎城コース
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(株)伊香保ゴルフ倶楽部はもともとは、地元の建設会社で96年に破綻した大洋建設のグループ会社。
岡崎城コースは法人専用コースとして84年にオープン、会員には日本を代表するような超一流企業がズラリと顔を揃える。27Hでコースの質にも定評がある。
2コースめとなる清瀧城コースは総額200億円をかけて92年にオープンしており、こちらは18Hで個人向け。
コースが狭い代わりに、もともとは9H増設する計画もあったためクラブハウスは超豪華版だ。
今回再生手続きに至った直接の引き金は、今年10月に清瀧城コースの償還期限が到来、預託金の返還請求に耐えられなくなったことと、このコースに担保を付けていた銀行との関係の変化にある。
同コースの施設には、もともと高崎信金、群馬銀行、新潟中央銀行の担保が設定されていたが、岡崎城で175億円、清瀧城で252億円も預託金を集めており、当然どれもゴルフ場建設資金として借りたお金の担保ではない。
というのも、親会社の大洋建設は一時は20社あまりのグループ会社を傘下に抱え、この2コース以外に新潟に石地シーサイドと下田城、栃木県に東烏山をオープンさせた他、オープンには至らなかったゴルフ場開発も手がけている。
その大洋建設が96年に破綻、債務の一部を子会社である同社が長期の延べ払いで引き継ぎ、コースの競売を免れたいきさつがある。
既に群馬銀行、破綻した新潟中央銀行両行の債権は整理回収機構に移管されており、残る高崎信金からも、「そろそろどうにかしてほしい、さもなくばサービサー(債権回収機構の専門会社)に売却したいとの意向が出されていた」(再生手続きの申立代理人・田辺勝己弁護士)という。
スポンサー探しをしているうちに、待ちきれなかった高崎信金がアイ・エス・オー債権回収(以下、ISO)なるサービサーに債権を売却。
旧経営陣を退かせてISOが送り込んだ経営陣の手で、再生手続きの申し立てが成されたわけだ。
「再生手続きはISOがスポンサーとなるプレパッケージ型で申し立てている」(田辺弁護士)というのだが、実はこのISO社、大株主は平戸GCや下田城CCを買収したスルガ・コーポレーション。
従って、今回のスポンサー候補はスルガ・コーポレーションと見てまず間違いない。
ちなみに、通説では岡崎城の会員数は750名、清瀧城は1500名と言われていたが、実はそれぞれ2200名に3700名。
整理をしたら会員がいっぱいいた。
これだけの数だとプレー権の確保は当然としても、返済率の方はあまり期待出来ないかもしれない。
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