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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/4号
2007/11/22更新
ツアーで優勝トロフィを渡して4日後に社長逮捕。
ビッグライザック事件の顛末

 シニア大会初優勝の倉本昌弘プロに、大会スポンサーとして優勝トロフィを手渡した、その4日後に有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕され、さらにその2週間後にはゴルフ場経営会社の親会社が破産。まるでドラマのような転落劇の背景を追った。

 倉本プロがシニア初優勝を飾ったのは、ビッグライザックシニアオープン。大会会場は仙台のビッグライザックCC。

大会最終日の9月8日、倉本プロと優勝カップを挟んで満面の笑みをたたえていたのは、大会スポンサー大喜(株)の西田嘉幸代表。

 大喜は会場、ビッグライザックCCの所有会社である。

大喜には伊豫(いよ)商事なる親会社があり、西田代表はこの伊豫商事の大島敏之代表と共謀、金融機関を騙して400億円あまりの融資を引き出していた容疑でお縄になった。

 具体的には、パソコンで作った納税証明書に、偽造した税務署長印を押したものを金融機関に見せ、多額の納税をしている、儲かっている会社だと思いこませたり、あるいは偽造した全農の債務保証書を見せるなどで、融資を引き出したという。

 騙された銀行はというと、同社の地元岡山、広島、兵庫の農協の支所、広島銀行や中国銀行などの地銀のみならず、みずほ、三井住友といった天下のメガバンクにまで及ぶ。

プロの銀行員がまんまと騙されたのは、伊豫商事が昨日今日出来た会社ではなく、業歴30年以上の会社で、それも全農とは長年密接な関係にあったことが大きく影響しているだろう。

 何しろ創業時、アース製薬の代理店だったころから岡山県経済連との取引があり、本業のティッシュや介護用品、ミネラルウォーターなどの販売では全農の超有力指定業者だった。

 登記上の本社も全農岡山県本部がある岡山県農業会館内。

 だからこそ全農の債務保証書をホンモノと信じたのだろう。

 大喜がビッグライザックCCを買ったのは、今から6年前の平成13年。

 このコース、オープン当時のコース名をMILIA 1000 SENDAIという。あの千昌夫の経営会社が開発許可を取得して完成させたコースだ。

 メインバンクの日本長期信用銀行が破綻し、コース経営会社も清算されることになり、売りに出された同コースを買ったのが大喜だった。

 取得後は倉本プロをアドバイザーに迎え、コースをクローズして改造したり、シニアトーナメントを開催したりと、このコースに相当の投資をしてきたことは間違いない。

「銀行が騙されたくらいだからプロゴルファーが騙されても仕方がない」とは倉本プロの弁だ。

 だが、その資金の出所は現時点では不明。

 一体いつ頃からマトモでない会社になっていたのかもわからないのだ。

 会社の内容を熟知しているはずのトップ2人が逮捕され、残された役員が破産を申し立て、現在はコースも会社も管財人の監督下にある。

 だが、負債総額もわからなければ、一体会員が何人いて、いくらの預託金を集めているのかもわかっていない。

3300万円で会員募集をかけた形跡はあるものの、後に撤回して年会費制の会員を募集していたこともある。

警察の捜査が同時に進行していることもあり、来年1月18日の債権届け出期限までに、一体どのくらいの債権届け出が成されるのか。

「そのときになってみなければ負債総額すら把握出来ない状態」(破産管財人の小林裕彦弁護士)という。

 ちなみに、大会の賞金は「開催前にあらかじめPGAがスポンサーから全額払い込みを受け、選手には大会後にPGAから払い込むシステムになっている」(PGA広報)ので、賞金はちゃんと出場者に支払われているのが不幸中の幸か。

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