国内女子ツアーは先々週、永久シードの不動裕理を除く、上位50人(51位)までの賞金シードが確定した。その内訳を見ると、宮里藍がプロ入りした03年以来言われているツアー選手の若返り、低年齢化を改めて裏付ける結果となった。
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出場12試合でシードゲットの服部真夕
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まずは、別表の初シード組の顔ぶれを見ていただきたい。
初シードが14人というのも史上最多だが、その多くがツアー参戦1年目。
つまり、昨年のQTで今季出場権を得たルーキーがさっそくシード圏内の賞金を獲得しているのだ。
かつては、シード権を得るまでに苦節ウン年というのが当たり前のイメージがあったが、それはもう過去の話になったようだ。
当然、初シード組の年齢は若い。
「日本選手について言えば、やはりジュニア時代からツアーでプレーしてきた経験が強みでしょう。そして、そのツアーでは、ジュニア時代に競い合ったライバルたちが優勝争いをしている。だったら自分もやれるという気持ちになれたことが、彼女たちが萎縮せず、いきなり活躍できた理由でしょうね」
と語るのは、テレビのラウンドレポーター等でツアーの実情をつぶさに見ている山崎千佳代プロだ。
その結果、来季の賞金シード50人の平均年齢は27.76歳(2008年1月1日時点、月年齢は加えない)となった。
05年が同32.40歳だったのが、06年に30歳を割り、そして今季は28.96歳。
来季は、05年からわずか3年で5歳近くも若返ることになる。すさまじい速さの世代交代と言えるのだろう。
一番の若手は、現役女子大生(名古屋商大2年)で今季プロテストトップ合格の服部真夕(19歳)だ。
彼女はトップ合格の権利で得た、出場わずか12試合でシード権を獲得した。
ちなみに、シード選手の最年長は、服部道子(40歳)。
以下、30代選手が18人。シード選手の中心は、圧倒的に20代ということになる。
初シード組で特筆すべきは、この服部のほか、原江里菜、佐伯三貴と現役女子大生が3人も誕生したこと。これはこれまでにない、新しい現象だろう。
また、中国選手として初めてのシード選手になった張娜(チャンナ)の登場も注目される。今後の中国勢台頭の先駆けになるのだろうか。
一方、シード喪失組にツアー10勝の藤井かすみ、同4勝の大場美智恵の名前があるのは寂しいところだ。
藤井は昨年から相継ぐ故障で、満足なスウィングができなかった。
また、100万円余の差で次点に泣いた大場は、高額賞金大会の日本女子プロ選手権で、3日目まで優勝争いをしていたにもかかわらず、スコアカードのサイン漏れで失格となったことが悔やまれる。
周囲からは「あれがなければ……」と同情の声がしきりにあがるが、本人は「あれがなかったからといって、どうなっていたかは誰も分からない。あれはあれで、勉強になった」と肩を落としながらも、吹っ切れたように語っている。
ともに実力のある選手だから、今週開催のファイナルQTで来季出場権を獲得することだろう。
「今の女子ツアーは、かつてのように真っすぐ飛ばすだけでは駄目、パワーがなければ上位で通用しない時代になりましたね。このまま刺激しあって成長していけば、メジャーで優勝争いをするような選手が次々と現れるんじゃないでしょうか」(山崎プロ)
確かに若返りはツアーの魅力アップではあるが、それにともなって世界に通用する選手が飛び出してくれることを願いたい。
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