R&Aが定めたSLEルールが5年間の猶予期間を経て、年明けの1月1日からいよいよ施行の運びとなった。その結果、SLEルール不適合と認定されたクラブは使用が認められなくなるが、先日、マグレガーゴルフジャパンは、同社の製品である「マックテックNV3アイアン」がルール不適合クラブである旨の発表を行った。
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あと2年間は使えます…、NV3アイアン
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同社によると、NV3アイアンを発売したのは2004年3月のこと。反発係数が0.83という基準を超えるアイアンであることは、同社サイドももちろん認識しており、新発売に際して反発係数の高さを前面に打ち出した広告宣伝活動を積極的に展開していたことを見ても明らかだろう。
この経緯について、同社マーケティング部の松下健課長は、こう説明する。
「ドライバーに関しては2002年にフェースの反発係数に関する規制の発表がありました。しかし、アイアンに関しては規制の対象外であったため、当社としてはNV3アイアンを発表するに至りました。ところが、2006年1月6日、R&Aから各クラブメーカーに、アイアンについてもスプリング効果規制が適用となり、基準値を超えた場合には不適合となるとの通達がなされたのです」
つまり、同社は、当初アイアンは規制の対象外だったという認識を持っていたというわけだが、この点は多くのゴルファーも同様だろう。
今でも高反発規制は、あくまでもドライバーに限られた規制だと思い込んでいる人も少なくない。
マグレガー以外の大手でもこう認識しているメーカーもあったほど。
しかし、この点についてJGAは、
「2002年に最初の発表をした時から、R&Aは一度たりとも、高反発のアイアンやフェアウェイウッドを作っていいとは言っていません。2006年1月に通達を出したのは、規制はドライバーに限られるという風評が広まってしまったために、再度、確認をしていただく意味で出したものなのです」という。
この辺には両者の間の認識には微妙な"温度差"があるようだが、それを確かめようと日本ゴルフ用品協会に電話をしたところ、
「高反発規制に関しては、R&Aが決定をし、日本ではJGAが窓口になっています。ですから、私どもでは何もお答えすることはありません。JGAにお聞ききください」とこちらは、にべもない返事だった。
ちなみに、今回のNV3アイアン、2006年1月の通達でドライバーには5年間の規制猶予期間が与えられたものの、アイアンについては猶予期間がなく、2006年2月から即実施となった。
しかし、NV3アイアンは大ヒットした製品であり、多くのゴルファーが買い求めた人気のクラブだけに即実施され、同クラブが使えないとなると大きな混乱が予測されたため、マグレガージャパンとR&Aが対応を協議。
猶予期間の延長を求めた同社に対して、R&AはNV3アイアンを2009年12月31日まで適合クラブとして認めるとの決定をしたというわけだ。
今回の一件は、当事者であるマグレガージャパンが、NV3アイアンが不適合クラブであることを自ら申告する形で発覚しただけに、ほとんど混乱もなく、事態は収束した。
しかし、来年1月以降となると、どんな不測の事態が起こるか、今のところは何とも予測ができない。
しばらくは事態の推移をしっかり見守りたいものである。
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