着手から20年、かつてデパートの三越が580億円を投じたゴルフ場・旧八街(やちまた)CCが、「千葉バーディクラブ」(千葉)としてようやく来春開場になる。11月半ばには会員権の販売も開始されたが、価格は1304万円と、いきなり1000万円超。最終会員数を680名に抑える募集戦略を追った。
三越が旧八街CCの開発に着手したのはバブル最盛期。
「なぜだ」の言葉を残して失脚した、あの岡田茂氏の後任として、1986年に社長に就任した坂倉芳明氏が多角化路線を指向。
千葉県の地場ゼネコンである内野屋工務店を全面的に資金支援する形で、八街CCの事業に参入、1995年3月には内野屋工務店名義での開発許可取得に辿り着く。
だが着工は2年後の1997年4月。
ここまでに三越がこの事業に投じた資金は580億円にも上り、どう考えても資金回収はままならない。
このため、2月決算の三越は1997年8月中間期決算でゴルフ場関連の損失処理を実施し、446億円の特別損失を計上。
社長から会長に昇格したばかりだった坂倉芳明氏も引責辞任に追い込まれる。
翌1998年6月には開発主体の内野屋工務店が破産。
三越が破産管財人から事業譲渡を受けたものの、リストラに向かった三越側にも、ゴルフ場を仕上げようという意志も余裕もなく、工事は中断したまま長期間放置されることになる。
建設途中のコース取得にも積極的な、ユニマットリバティが協力を申し出て、工事が再開されたのは昨年4月。
2008年4月の竣工を目指した計画通りに工事は進行しており、今年11月15日から会員募集を開始している。
ユニマットリバティでは、同ゴルフ場の会員総数を680名に抑え、2010年4月までに募集を完了させたい考え。
現在募集中の特別縁故一次(150口)は、預託金800万円、入会金480万円とその消費税24万円の合計1304万円が一口の価格。
このあと特別縁故2次で200口を募集、2008年4月には会員総数を350名まで引き上げる計画だが、2次の価格は預託金部分だけを200万円引き上げて一口1504万円で販売する。
東関東自動車道の佐倉ICから車で18分とアクセスは良いが、
「ゴルフ会員権は、そのクラブが持つコミュニティの価値を買う、という面がある。従ってクラブ運営の実績がない新規コースにはハンディがある。新規コースとしては強気な印象」(ゴルフダイジェスト社会員サービス部・田嶋一弘氏)といった声も。
これに対し、「預託金部分には据え置き期間を設定しているとはいえ、わずか5年。5年後には返還する前提であり、コースも広い上に戦略性にも富んでいる。決して高くはないと考えている」というのがユニマットリバティの見解だ。
それでは販売状況はどうかというと、
「11月15日から始めるはずだった視察プレーを、可能な限り1月15日にしてもらっているので、少し遅れている。ハウス周辺の工事が若干遅れており、プレーには支障はないが、ハウス周辺の今の状態がイメージダウンにつながることはできれば避けたい。同時進行で募集を進めている東京バーディ(東京)の募集も好調なので1月以降は順調に行くと思う」(同)という。
カメリアヒルズ(千葉)、久邇(埼玉)、イーグルポイント(茨城)など高額の募集が相次いだ2007年。
建設に要した数10億円~100億円の資金を回収しようというのではなく、あくまで追加・補充募集であるため、前出の田嶋氏は「価格を下げてでも売り切ろうというのではなく、価格を下げずにステータスを維持する方向にあるのでは」と見る。
ユニマットの募集姿勢にもステータスを維持しようという意志が見て取れる。結果はいかに?
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