07年男女国内ツアーのテレビ中継の視聴率は、まさにシーズンを象徴する結果となった。しかし、その数字をさらに読み解くと、意外な事実も見えるようだ。
「数字はウソをつかない」とはよく言われるが、07年のツアーの視聴率を見ると、男子のベスト5はいずれも石川遼が出場し、予選を通過した試合である。
上位でなくても、必ず彼のプレーの一端やインタビューが紹介されることで、ファンがチャンネルを合わせたのだろう。
一方の女子だが、日本女子プロゴルフ協会の樋口久子会長は「本年度は拮抗した試合が多く、プレーオフが10試合もありました。そのことがファンに感動を与え、視聴率8パーセントを超えた試合が12試合(昨年は9試合)もありました」と語り、宮里藍不在の07年は、質の高い試合内容で視聴率を上げることができたと振り返る。
確かに視聴率を見ると、ベスト3はいずれもプレーオフのゲームだ。
だが、実はそのすべてが上田桃子のからむ試合だった。
「好ゲーム、即ち高視聴率」とはならないが、07年の上田桃子は勝っても負けても好ゲームの演出者だったことは間違いない。
シーズンを通してはブッチギリの強さを見せた上田も、5勝のうち圧勝は不思議と1試合だけ。
残りは2度のプレーオフ勝ち(プレーオフ負けは3度)を含め、接戦ばかり。
しかも、競り合った相手には横峯さくらや有村智恵といった若手人気選手が並んでいる。
実は来季シード51選手の年齢を見ると、上位で活躍した選手ほど若いというこれまでとは逆の年齢構成になっている。
07年は20代前半の選手が盛り上げたシーズンだったのだ。
ところで、そのなかで07年唯一、2桁視聴率を獲得した富士通レディースだが、数字の裏にはラッキーな要因がいくつもあった。
まず、その日(10月14日)の中継は、男子ツアーで今季を代表する名勝負となった日本オープンの生中継に続く時間帯だったこと。
日本オープンの激戦を堪能したファンが、そのままチャンネルと合わせると、そこでさくらと桃子の熱戦が……。
すると試合は、大詰めで桃子がわずか80センチほどのパーパットを外しプレーオフへ。
そして、その模様はともに難しいバーディを奪い合った1ホール目をカットせず中継されたことで高視聴率につながった。
こうして紹介すると、視聴率的には万々歳のように思える女子ツアーだが、2桁試合は06年の4から1に減り、年間の平均視聴率も06年を下回った。
やはり藍ちゃんの不在が影響したのだろう。
さらに、08年は07年の名勝負製造人の上田が米ツアーに。その点は、女子ツアーも想定外? だったのでは……。
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