このところ毎年、若い力が次々と参入し、活力補給に不安のないように見える女子ツアーだが、実は3~4年も前から検討課題になっている制度がある。いずれも男子ツアーでは導入済みのQTの「リランキング」と、いわゆる「裏シード」=2部ツアーの賞金ランキング上位選手に与えるシード権だ。これら制度の導入を求める声が高まる、その事情とは。
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去年、制度改正があれば、あすみんがもっと見られたのだが……
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ファイナルQT、つまりツアーの統一予選会は、女子ツアーでは前年暮に実施されるQTの順位がそのまま1年間適用される。
一方、男子ツアーにはリランキング制度があり、シーズンの中間に、前半戦での賞金ランキング順にQT順位が並べ替えられる。
つまり、前半戦調子の良かった順に後半戦の出場権が与えられる仕組みになっている。
女子ツアーでも以前から導入が検討されていたのだが、昨年は、QT下位の原江里菜が主催者推薦などで出場したわずか6試合目、5月中旬のヴァーナルレディースまでに早々とシード権をほぼ確定。一躍、注目のルーキーとなった。
ところが、日照時間の関係で出場人数が減る秋には、彼女の出られない試合が続出した。
「もちろん主催者の間からは、残念がる声が多く聞かれましたよ」(大会運営会社スタッフ)
もう1人、大会主催者を悔しがらせたのが、昨季の開幕戦でプレーオフにまで進み、そのファッショナブルなルックスで人気爆発した”あすみん”こと、辻村明須香だ。
彼女の場合、昨季はサードQTで失敗したため、主催者推薦でのみの出場。
しかし、その場合の出場試合数は年間8試合まで。あすみん人気に、急きょ推薦出場させようにも、その時点で、既に先約がいっぱい。
「彼女に限らず、推薦で出場する選手は、以前にもお世話になった試合を優先するので、急きょ呼ぼうとしても無理なんです」(ツアー関係者)とのこと。
そこで、女子ツアーでは今季から新たに、トーナメントで2位、3位になった選手には翌週の出場権が与えられることになった。
「あすみんルール」ではないが、実際、この新制度を紹介するに当たり、樋口久子会長は「今年(07年)開幕戦の辻村さんの例がありましたが……」と、あすみんの名前を出して説明した。
ところで、リランキング、あるいは2部のステップアップツアーの裏シードといった、下から新しい力を吸い上げる制度が求められる背景には、「女子の場合、3日間競技ということもあってか、男子に比べてシード選手の欠場が少なく、また出場枠自体が少ないため、来る週も来る週も金太郎飴のごとく、ほとんど顔ぶれが変わらないです」(前記のツアー関係者)
そのため、特にリランキングを求める声は大きいという。
確かに女子の場合、伸び盛りの若手のなかには、半年で格段の成長を遂げる者もいる。
昨季ブレークしたツアールーキーの佐伯三貴もQTは42位。
4月のフジサンケイで優勝してなかったら、秋には出られない試合があっただろう。
若手が少ないチャンスを生かし、下から飛び出すシーンは、ファンの楽しみでもある。
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