女性は女性からしか会員権を買えない――。女性の会員数を一定数に固定する、ゴルフ界に今も根強く残るこの規制。緩和する動きが出始めている一方で、一旦開いた扉を再び閉ざす動きも。“鉄の扉”は開かれる方向に向くのだろうか。
今年1月、大宮CC(埼玉県)がこの規制を撤廃し、女性も男性会員から会員権を買えるようになった。
4月には湯本スプリングス(福島県)、6月には芦の湖CC(静岡県)も相次いで撤廃に動いた。
が、平成16年に規制を撤廃した我孫子GC(千葉県)は、昨年12月から規制を復活させた。
一般に古いゴルフ場ほど、女性の会員数が一定数以上にならないよう、女性の入会を規制する傾向は強い。
その最大の理由は、「昭和40年代までに出来たゴルフ場の場合、女性がゴルフをする前提でクラブハウス設計をしていない。このため、女性用のロッカーやバスルームの収容可能人数が極端に少ない」(都内のゴルフ会員権業者)から。
ただ、「昭和50年代後半以降に建設されたコースは十分なスペースを確保しているケースが大半。収容能力はあるのに入会を規制しているコースも多々ある」(ゴルフ場経営に詳しい業界関係者)という。
収容能力があるのに入会を規制するのは、「年配の男性会員には、女性が増えるとプレーの進行が遅くなるという固定観念がある。このため、女性来場者が増え始めると、事実とは無関係に“プレー進行が遅いコース”という評判が立ち、会員権の価値が下がると考える人が少なからずいる。概ね女性会員比率が14~15パーセントを超えてくると、理事会が女性の入会を規制するよう、コース側に強く働きかけるので、コース側としては規制せざるをえなくなる。明確に女性は女性からしか会員権を買えないという規定を設けていなくても、なんだかんだ理由を付けて断る例もある」(同)という。
首都圏の利便性の高い立地のコースでは、年間来場者数が4万人を超えるコースがいくつも出始め、男性会員の反対を押し切って女性会員を呼びこむ動機ももはや後退気味。
もともと女性会員権は数が限られるだけに希少性も高く、一般の会員権との間で二重価格が確立してしまってもいる。
「その意味でもコースとしてはなかなか撤廃に踏み切れないのでは」(前出の会員権業者)。
だが、大宮CCでは事前に理事会にも諮ったが、「特に反対の声は上がらず、夫婦での入会がしやすくなるので、むしろ歓迎する声も出た。規制を撤廃したことで、実際に夫婦での入会者が増えた」という。
オープン当時から女性来場者の勧誘に積極的だった静岡県・伊豆のサザンクロスCCでは、来場者数の26~27パーセントが女性。
「ホテルが併設されているリゾートコースなので、男性同士の交流よりは、夫婦など家族でゴルフを楽しむ目的で来場する人が大半。第一、プレー進行の早い遅いやマナーは、男女の問題ではなく経験の問題。コース側の運営能力の問題でもある」という見解だ。
団塊世代のリタイア後に熱い視線を送っているはずのゴルフ業界。
夫婦でゴルフを楽しみたい層、また女性ゴルファー自体も増えている中、団塊パワー、女性パワーが鉄の扉を開く日は近い?
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