石川遼のプロ宣言のニュースは世界中を駆け巡った。やはり、昨年のマンシングKSBカップで優勝したことが、海外でも報道されていただけに、16歳の高校生のプロ転向は、ニュースバリューがあったようで、アメリカに限らず、それこそ世界中の新聞などが、このニュースを報じている。
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海外に紹介されれば競技へのチャンスも増える
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「シャイ・プリンス・ターンス・プロ」とか、「日本の神童」あるいは、「日本のタイガー・ウッズ」と見出しはいろいろあったが、その内容は、アソシエーツプレスなどの通信社によるものがほとんどで、日本で報道されたものと大きな違いはない。
しかし、
「11月のダンロップフェニックスでは、全英オープンの勝者で、ディフェンディングチャンピオンであったP・ハリントンがほとんど無名のような状態であったのに対して、石川遼は唯一タイガー・ウッズが引き連れているようなギャラリーに囲まれていた」
などと人気振りが紹介されていたり、
「殿堂入りプレーヤーの青木が、この天才児に可能な限り海外でプレーをすることをアドバイスし、そして負けることを恐れないようにと語っている。これに対して石川は『青木さんは勝ったときよりも負けたときのほうが多く学べるとアドバイスしてくれた。その言葉を胸に刻んでおく』と語っている」
といった記事を多くの新聞が掲載している。
「勉強とゴルフを両立させる」とか「将来マスターズに出場して、勝ちたい」といった話は、日本で報じられたものと同じだが、要は、石川遼の日本での人気が絶大で、海外の試合にも今後挑戦して行く可能性が高いことを示唆している。
ただ、ここで石川遼のニュースが海外で大きく報道される意味は少なくない。
というのも、海外での報道が増えれば米ツアーやヨーロッパツアーに、石川遼が出場できるチャンスが増えるからだ。
メジャーなどを除いて、通常の試合には、必ずといっていいほど、スポンサーの招待枠がある。
一方、スポンサーにとっては、試合を盛り上げるためにも、話題性のあるプレーヤーにプレーしてもらいたいと考えている。
特に米ツアー、ヨーロッパツアーなどでは、タイガーをはじめとするトッププレーヤーの出場する試合が一部の試合に集中し、これ以外の試合では、視聴率などの人気の地盤沈下が起こり始めている。
そうした中で、スポンサーたちは話題性のあるプレーヤーの参戦を喉から手が出るほど欲しがっているのだ。
加えて、ジュニアの育成には、どのゴルフ団体も積極的。
つまりは、青木のアドバイスどおりに、石川遼さえ望めば、快く参戦させてくれる試合は、少なからずあるはず。
実際、昨年7月に、やはり16歳でプロ入り宣言をした日系アメリカ人のタッド・フジカワは、先のソニー・オープンまでに、米ツアーで4試合、2軍のネーションワイドに2試合、カナダツアー、ヨーロッパツアーで1試合ずつ、それに日本のカシオを含めれば、シード権がないにもかかわらず、9試合に参戦している。
ミッシェル・ウィにしても、今でこそ、大学生となって、試合にはほとんど出場していないが、男子ツアーは無理だといわれながらも、彼女さえ望めば、男子の試合でも招待してくれるところが少なからずあった。
このことを考えれば、スポンサーが話題性のある若いプレーヤーを望んでいることはわかる。
残念なことに、米男子ツアーではウィに限らず、フジカワも、まだ1試合も予選通過を果たしていないが、飛距離などを考えれば、フジカワよりも石川遼のほうが、海外のコースへの適応力はありそうだ。
マスターズ出場の夢を果たすには、日本で賞金王になるよりも、米ツアーのマイナーな試合で優勝したほうが、早いかもしれない。
今年はもう間に合わないかもしれないが、せっかくの海外でのプロ入り報道、あるいは、来春の日本のオフシーズンあたりから、米ツアーに挑戦するのも悪くない?
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