いわゆる高反発クラブの使用がゴルフ規則によってすべて禁止されてから20日が過ぎた。この間、全国のクラブでは、新年杯や月例競技などのクラブ競技が実施されている。競技会の現場においてこの規制はどのように運用されているのだろう。
既に新年杯競技を終えた首都圏の数クラブに尋ねたのだが、ほぼ一様に「出場者のクラブをチェックすることも、入賞者のクラブを確認することもしていません。実際、不適合クラブを使っていた人はいないと思いますよ」(チャーミング・リゾート藤岡GC)といった返事が返ってきた。
「昨年から十分告知をしてきましたし、クラブ競技に出場するメンバーさんで、自分のクラブが心配な方は、皆さんうちへ相談に来られました。ですから、新年杯は全員適合クラブだったと思います」(茨城GC)
アコーディア・ゴルフのなかでも競技志向が強く、かつ競技伝統のある習志野CCと水戸GCでは、
「スターターについた競技委員がそれぞれスコアカードを渡す際に、口頭で今回のルール改訂についての注意点とともに、高反発クラブは使用禁止であることを説明したそうです」(アコーディア・ゴルフ広報担当 丸毛晴恵氏)
もっとも、クラブ競技に出場するほど競技志向の強いゴルファーは、普段からルールに関しても意識が高く、同規制について今さら混乱するようなことはなかったようだ。
「僕も1年前に買い替えたし、周りを見ても、高反発クラブを使っているメンバーはもういないと思います。昨年は、顔を合わせればこの話題になったから、不適合クラブを使い続けられる雰囲気ではなかった」と語るのは、作家で国際経営コンサルタントの植山周一郎氏だ。
植山氏は所属する石坂GC(埼玉県)で、今月の月例競技に出場する予定だが、同GCでも
「支配人に確認したところ、競技会で入賞者のクラブを確認するようなことはしないと言ってました。つまり、この規則も他のルールと同様、あくまでもプレーヤーの自己責任でプレーしてもらうということでしょう。この規則に対する自己責任は競技失格だから、守らない人はいないでしょう」という。
しかし、日本ゴルフ協会(JGA)の「用具審査」の担当者には、今年に入ってからも加盟クラブから連日のように問い合わせがあるという。
問い合わせで多いのは、適合・不適合の調べ方。
これについては、各自、ネットでJGAのホームページにアクセスし、R&Aのリストで確認する。もしくはメーカーに問い合わせる等の手段を伝えている。
また、競技会でこの規則をどのように運用すべきか。つまり、チェックをすべきなのか。
そのためには委員会で規定を設けるべきなのか。さらには、疑問のあるクラブが見つかった場合の対応などの相談も多い。
これに対してJGAでは、怪しいクラブが見つかった場合には、各クラブの委員会で可能な限りの調べを行ったうえで判断することを勧めてはいるが、それ以前にチェックすべきかという問いには、
「他の規則と同様、ゴルフはすべてのプレーヤーが規則を遵守してプレーしていることが前提の競技ですから」
として、クラブ側がチェックすることは勧めていない。
事前には大騒ぎした高反発規制だが、実際の競技の現場では、全般に無難なスタートを切ったとみてよさそうだ。
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