ゴルフボール市場のなかで、今年注目を集めそうなのが4ピースボールだ。チェ・キョンジュがナイキのニューボールを使って前年比23ヤード飛距離アップしてのソニーオープン優勝の情報も伝わってきた。このボールも4ピース。ボールのホットな動きを追った。
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タイガーも使うワンプラチナ。4ピース時代の到来か
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ブリヂストンスポーツは昨年、『X-01』シリーズに4ピース構造の『G4』と『R4』を登場させた。
「ドライバーでスピンを減らし、アプローチではスピンをかけるという相反する性能を両立させるためには、4ピースの方が条件に合わせた設計がしやすい」(ブリヂストンスポーツ広報室長・嶋崎平人氏)
その結果、同社のボールを使用するプロのほとんどが4ピースにシフトし、市場でも4ピースが約4分の3を占めるまでになった。
「米国市場でもプレミアムゾーンのトレンドは4ピースに移っていて、日本でも4ピースが主流になるのでは」(嶋崎氏)という予想もある。
『ナイキワン・プラチナ』も4ピース構造となった。
最大の特徴は、中間層に「パワートランスレイヤー」といわれる高密度素材を採用したこと。
「従来はコアに使われてきた素材で、オフセンターヒットでも反発力が強く、飛距離のばらつきが少ない」(ナイキゴルフ)
このモデルのテストに参加したタイガー・ウッズは開発スタッフにこんな質問をぶつけた。
「このボールは試合で使えるのか」。
その時点でUSGAの公認をとっていないことをスタッフが伝えると、タイガーは「すぐに使えるボールを持ってきてよ」とがっかりした表情を見せたという。
タイガーにそういわせるほどのパフォーマンスは、昨年末に行われた「ターゲットワールドチャレンジ」における7打差の圧勝で証明された。
そして、今年のソニーオープンでは、昨シーズンの平均284ヤードに対し、4日間通じて307ヤードと驚異的に伸びた飛距離が、チェ・キョンジュの今季初優勝の原動力となった。
一方、キャロウェイは、『HXツアー』の後継機種『ツアーix』と『ツアーi』を発売する。
2層のコアのうち外側に比重の重いタングステンを配合して慣性モーメントを大きくし、ドライバーショットのスピン低減をねらった構造だ。
「プロが使うボールは重心のばらつきがないことが条件。4ピースにすることでタングステンをボールの外周に均一に配置できました」(キャロウェイゴルフPRマネジャー・田島佳代氏)
『ワンプラチナ』も『ツアーix』『ツアーi』も、クラブに例えるならスウィートエリアが広くオフセンターヒットに強いボールで、「必要な材料を必要な場所に配置しやすい」(田島氏)4ピースのメリットを生かしたもの。
ただ、3ピースから4ピースに完全に移行するわけはなさそうだ。
「現時点で4ピースの方が明らかに性能がいいということではない。狙う性能によって適した構造がある」(SRIスポーツ広報グループ・山田照郷氏)
この動き、どうなるか注目したい。
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