諸見里しのぶと佐伯三貴の日本代表が3位タイと大健闘を見せた今年の第4回女子ワールドカップ。2人のパワフルなプレーに、最後まで期待を持って応援できた大会だが、TV画面から外れたところでは、今年もさまざまなドタバタがあったようだ。
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いろいろなことを経験、よりたくましくなった佐伯(左)、諸見里
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今回のチーム日本は、諸見里関係の江連忠コーチや、佐伯の両親などを含めた総勢10人ほどの団体となった。
14日、その彼らを現地南アフリカ・ヨハネスブルグの空港で出迎えたのは、発砲音だった。
発砲現場は離れていたようだが、空港は一時、緊張感に包まれた。
そのため佐伯は自身のブログで「いきなり警察官が慌しく拳銃を握りしめている姿を見て、ビビって半泣きです」と着くなり不安になった心境をつづっている。
南アの社会情勢はサッカーのワールドカップを2年後に控え、改善されつつあるとの報道もあるが、「ヨハネスブルグの治安は年々悪くなっているそうです」(同行の関係者)という。
実は、日本からは報道関係や諸見里をサポートするテーラーメイドの社員など、さらに3人がチーム日本と同行する予定だった。
ところが、香港で乗継ぐはずだった南ア航空便がオーバーブッキング。なんと100人も乗り残しとなり、そのなかに件の3人も含まれてしまった。
そのうちの1人は、「テーラーメイドのスタッフは諸見里が使うボールを手荷物で運んでいたので、それだけは彼女に手渡して、自身は僕らとともに香港で一泊するはめになりました」と語る。
そして、1日遅れで南アに到着した彼らは、三井物産の現地駐在員の好意で、無事コースまで送迎してもらえたのだが、事情を知らない者の移動はとても危険なのだという。
危険は街中だけではない。諸見里と上田桃子が出場した昨年は、ホテル4階の諸見里の部屋にマントヒヒが忍び込み、食べ物をとられる騒ぎがあった。
また、06年大会では、横峯さくらのパソコンが同じくホテルの部屋から盗まれる事件も。
さらに、「日本人の感覚では、時間にも職務にも余りにもルーズなお国柄に戸惑いましたけど、“アフリカだから……”と割り切らなければ、精神的に参ってしまう」と、前記の到着が遅れた某関係者は現地で戦う上での大事な心構えを語る。
最後の最後まで南アにたたられたわけでもないだろうが、帰りの便で今度はキャディバッグが日本に届かなかった。
だから、「航空会社に問い合わせたのですが、しのぶと三貴ちゃんのキャディバッグはまだ南アフリカにあるそうです」(諸見里の関係者)という事態にだって、「試合後だから良かった、良かった」と前向きに捉えるべきなのだろう(?)。
そうしたなかでの今回の好成績の背景だが、「上位国の多くは米ツアーでプレーする選手だったので、2人は外国チームというより、米ツアー選手と戦うという気持ちが強かった。米ツアー相手に自分たちの存在感を示すという闘志が結果につながったのでしょう」(同行の関係者)という。
そして、2人をチーム日本が上手にバックアップした結果とも。
実際、日本ペアの闘志はテレビ中継からも伝わってきた。
そのためか、テレビ視聴率も日曜の深夜(23時55分~)にもかかわらず、5.4パーセント(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という高い数字を記録した。
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