このところ外資系だけでなく国内勢、それも老舗コースでも値上げに踏み切るコースが相次いでいる。なぜ今、年会費値上げなのか。その実態に迫った。
まずは昭和33年オープンの龍ヶ崎CC。
従来の5万2500円(以下、価格は全て消費税込み)から、一挙に倍の10万5000円に。
8年振りの値上げは「施設の老朽化が著しく、今後設備投資が増えていくなか、ビジターを増やさず会員本位の経営を維持したい」(同CC)ため。
昭和38年オープンの大浅間GCは、2万1000円から5万2500円への値上げ。
「会員の側から、年会費を上げていいいから設備を充実させてほしいとの要望が出た。値上げ自体20年振り。同等の格のコースと比べても高くはない、と判断した」(同GC)
昭和36年オープンの宇都宮CCは、3万7800円から5万400円に。過去4~5年自己資金でリニューアルして来た。
「目に見えてきれいになっているので、会員の理解を得ることが出来たと思う」(同CC)。
昭和39年オープンのフレンドシップCCは、オープン以来初めて年会費徴収を開始する。年会費は2万5200円だ。
「メンバーの高齢化が進み、スリーピング会員が増え、利用率も下がり気味。年会費なしだと、スリーピング会員も会員権を持っただけの状態が続いてしまう。メンバーにコースに目を向けてもらうことで、コースの活性化を図りたい」(同CC)
このほか、5万400円から7万5600円に引き上げる鳳琳CC、2万1000円から3万1500円に引き上げる津川CCなど、年会費値上げが相次ぐなか、流れに逆行するように値下げに踏み切ったのが、アスレチックGC。
平成12年の経営交代時に引き上げ、「以前から会員から高いと言われていた」(同GC)12万6000円から、一挙に半値の6万3000円に値下げする。
その代わり、従来はタダだったプレーフィを、1700円(キャディフィ含む)取ることにした。
年会費は設備投資を前提にしているコースのみならず、業績不振に喘ぐコースでも引き上げられている。
「グリーンフィは限界まで下がっており、来場者数が伸びても売上はさほど伸びない。でもグリーンフィを上げてしまうと、即来場者数に影響するので、消去法で年会費引き上げを選択せざるを得ない。ただ、結局滞納が増えるだけで良い結果を生まないことが多い」(日本ゴルフ場経営総合研究所・降旗貞夫専務理事)という。
「安定した経営維持のため、ゴルフ場経営会社にとって財務体質の改善も必要な課題」(大塚ゴルフサービス・藤本営業部長)でもある。
一般に年会費を引き上げると相場は下がり、滞納も増える。
滞納を請求すれば退会するから預託金を返せと言われるリスクがコース側にもあるが、法的手続きを経て預託金のカットが済んでいるコースだと、返還請求を受けてもコースは痛痒を感じない。相場下落はコースにとって直接のダメージはなく、ある意味やりたい放題。
会員側にしてみれば、コースに預託金返還を求めても返ってくるのはごく僅か。
市場で売っても既に値下がり済みで八方ふさがり、というわけだ。
年会費を据え置いても、ビジターを増やされるのでは元も子もない、という会員心理もある。
こういう動きが、コースが強気に値上げに踏み切る動機になっているのかもしれない。
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