「J-sys」(J-シス)という単語は関東地区のクラブメンバー以外にはまだ耳慣れないかも。これは、今年からJGAが管理し、全国のクラブへ導入を促しているJGAハンディキャップ査定システムの名称。今後、JGAや各地区連盟の主催競技では、クラブハンデでの出場は認められず、Jシスハンディのみとなる。しかし、その普及は一筋縄ではいかないようだ。
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名門・霞ヶ関CCもJ-シスを受け入れた
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J-シスについて簡単に説明すると、そもそもは30年前にJGAがクラブハンディではなく、公平性のある全国統一基準によるハンディ査定システムの構築を発案、その作業をモニターとして関東ゴルフ連盟(KGA)に委託した。
KGAは試行錯誤を繰り返しながら、コンピュータが自動的にハンディを算出するシステムを開発した。
ただし、スコアの入力は各クラブから計算センターに送られたスコアカードをオペレーターが打ち込むという運用だった。
それが昨年8月からは、オペレーターを介さず、プレーヤーがネットを通じて(携帯電話も含む)、直接、簡単に入力できるシステムに(もちろんプレーヤーの代わりにクラブが入力してもかまわない)。
ネット経由なので、全国どこでもローコストで利用できる。
つまり、コンピュータによって一元管理する公平性、信頼性に優れたシステムが、さらに手軽に、かつ経済的になったことで、広く利用しやすくなったのである。
この開発に当たったKGAの富田浩安ハンディキャップ委員長は、KGAの会報のなかで、
「既に全国組織の日本パブリックゴルフ場事業協会が採用しており、全国でのスムーズな利用は実証済みです。これで、正式競技であれプライベートコンペであれ、クラブがホストコンピュータにアクセスすれば、出場者のハンデを簡単に確認することができますから、JGAハンディは全国でとても使い勝手のいいシステムになると思います」
と、J-シス導入の意義を語っている。
もちろんプレーヤーがスコアを不正入力することもできるが、ホストコンピュータにアクセスできるクラブ側がチェックできることで信頼性を担保するとしている。
このJ-シスが今年からJGAに移管。
JGAハンディ=J-シスによって査定された数値となり、JGA等の主催競技ではその取得が義務付けられた。
これで一気に普及、と思われるのだが、KGAで普及に努めた事務局の担当者によれば、
「日本のゴルフはクラブ単位で発展してきたので、クラブハンディの文化が依然強いんです」と難しさを語る。
クラブによっては「クラブハンディだけで困らないから」と強い拒否反応が返ってくるそうだ。
「クラブハンディの文化」とは、つまりはクラブのハンディキャップ委員会が会合を開いては、「あの人の実力はこの程度かな」などと評しながら、皆で査定する。
そうしたコミュニケーションの場を持つのが、彼らの楽しみでもあるのだ。むろん普遍性のないハンディだが、もともとクラブ外でプレーすることが少ないため、それで十分なのである。
KGAでは、加盟500余クラブのうちJ-シス登録は335クラブ(1月1日現在)。
昨年8月の新システム稼動以降は急速に増加し、クラブ文化の厚い東京、程ケ谷、霞ケ関、我孫子、鷹之台、小金井といった関東を代表する名門7倶楽部でも理解は広まるが、程ケ谷だけは頑強に拒否しているようだ。
「クラブハンディも、その文化も否定するものではありません。ただ公平性に欠けるクラブハンディだけでは、クラブの枠を超えた、オープンで公正な競技運営ができませんから」(KGA)。
今後のゴルフの普及を考えると、公正なハンディを、(ノンクラブメンバーも含め)より一般に普及させるべきなのだろう。
そして、将来的には海外ともリンクしたハンディシステムの構築も望みたいところだが……。
その前に、J-シスの全国導入で、JGAの指導力が試されそうだ。
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