国内女子ツアー戦として、今年初めて海外で実施されるはずだった「JLPGA豪州選手権」。その開催が危ぶまれていたことは、週刊GD・2月5日号でも取り上げたが、案の定というべきか、8日に日本女子プロゴルフ協会(LPGA)から開催中止の発表があった。タイトルスポンサーの確保ができなかったことが理由だが、背景を調べるとLPGAのなんとも脇の甘さが見えてきた。
この大会は昨年末のツアー日程発表時には、開催コースとなる豪州のレイクランズGCを所有するニューレイクランズという日系企業の主催で、LPGAの特別公認競技として賞金総額7000万円で実施されるとなっていた。
もっともLPGAへの申請段階では大手カード会社がタイトルスポンサーとなっていた。
それが11月に急きょ撤退。そのため日程発表時には、スケジュールから外すべきか当日まで協議されていたという。
それでも日程に加えたのは、開催までに新たなスポンサーと契約できる読みがあったからだ。
実際、現地・豪州でスポンサーセールスに当たった代理店関係者によれば、「2社ほど候補があったと聞いています」とのこと。
だが、LPGA事務局によれば(具体的な事情は明かしてもらえなかったが)、「サブプライムローン問題の予想以上の広がりで」との理由でスポンサーが契約できず中止に。
確かに外資など国際的企業であれば、昨今のサブプライムローン問題の影響は大きいに違いない。
ところが、豪州側の大会運営関係者は、「某大手保険会社が前向きに検討していたという話です。でも、この時期からのスポンサーシップではPR期間が短く、費用対効果が悪いという判断で契約に至らなかったそうです」と、具体的な会社名を挙げて、中止の事情を説明する。
いずれにせよ、LPGAがスポンサー確保の前に見切り発車的に発表したのが「判断ミス」と言えそうだ。
さらに頓挫の背景を調べると、1人のプロデューサーの存在に行き着く。
かつて日米共催のツアー競技なども手がけた人物で、今回も彼が豪州側とスポンサー(カード会社)を取りまとめ、LPGAに申請したのだという。しかし、カード会社は先に撤退。
そして、主催者のニューレイクランズ側の実状を聞いても疑問が拭えない。
というのも、同社のオーナーは福井の某眼鏡メーカーの元社長・藤田尚徳氏で、現在は1年のほとんどを現地ゴルフ場で過ごしている。
そのレイクランズGCには、この冬、多くの女子プロが大会に向けての視察を兼ねて、練習に訪れている。
その関係者の1人がこう証言する。
「藤田さんは朴訥とした、いかにも田舎のおじさんといった感じの方で、自らバックを持ってコースにやって来てましたよ。それで大会のことを聞いたら、『本当にやるのかな』って(笑)。本人もコースも、準備しているようには見えませんでしたね」
もともとどこまで確かな計画だったのだろう。
実はこのプロデューサー氏、昨年のツアー日程でも物議をかもしたハワイでのツアー競技開催にもかかわっていた人物という。
1度ならず2度までも……。LPGAが脇(審査)の甘さを問われてもしょうがないだろう。
さらに、今年、大会が無事開催されたとしても「無理」が多すぎる。
連戦の最中、多くのシード選手の欠場が予想された。にもかかわらず、タイトルスポンサーには3億円とも言われる多額の経費負担が求められた(選手の“アゴ足”を負担する必要があるため)。
それではコストパフォーマンスが悪過ぎ、継続してスポンサードする企業の登場は難しい。
そのため、中止の発表にもツアー関係者からは「やっぱり」の声が多かった。
この問題、今後に尾を引くのか注目される。
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