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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 3/4号
2008/2/21更新
トッププロは軒並み飛距離ダウン
米ツアーに何が起こっている?

 08年の米PGAツアーが始まって6試合が終了したが、その米ツアーで異変が起こっている? ドーピングテストが導入される影響ではないのだろうが、トッププレーヤーたちのドライバーの飛距離が軒並み落ちているのだ。


最終日3連続ボギーで優勝をのがしたV・シン

「1ホールでこんなに叩いたことは、記憶にない」と語ったのは、先のAT&Tペブルビーチで予選落ちをしたフィル・ミケルソン。

 なんと第3ラウンドの14番パー5で、右ラフからの2回連続OBで、11を叩いたのだ。

 そして、ビジェイ・シンも「負けるなんて考えもしなかった。ラウンド中に崩れたのが痛かった」と試合終了後に語っていた。

 最終日の14番ホール、パー5から3連続ボギー。

 これで、スティーブ・ローリーに追いつかれ、プレーオフに持ち込まれて優勝を逃している。

 また、同じ週、インドで開催された欧州・アジアンツアーのインドマスターズでは、アーニー・エルスが初日の18番パー5で9を叩いている。

 パー5のロングホールといえば、飛ばし屋ぞろいのビッグネームたちにとっては、バーディチャンスのホールのはず。

 にもかかわらず、躓きの原因が揃ってロングホールになっているのだ。

 これまでは、ミスショットをしてラフに入れても、距離が出ているぶん、ロングヒッターの多くがラフからでもグリーンを狙う事が多かったが、それが難しくなっていることの証明が、こうした大叩きということかもしれない。

 そしてそのために、皆が慎重になり、飛距離を抑えて、フェアウエイをキープしようとしているようだ。

 実際、昨年年間を通しての平均で、300ヤード以上飛ばしていたプレーヤーは、18名いたが、それが今年は8名。

 290ヤード以上の飛距離の選手は、昨シーズンには87名もいたが、今年は半分以下の39名しかいない。

 もっと具体的にいえば、AT&Tペブルビーチ終了時点において、昨年293.2ヤードの平均飛距離だったV・シンは、今季285.8ヤード。

 P・ミケルソンは298.1ヤードから284.1ヤードと15ヤード近くも落としている。

 まだ、米ツアーでは1試合の出場だが、タイガー・ウッズのビュイック招待での平均飛距離は、283.6ヤードでランキング76位。

 昨年のタイガーは平均302.4ヤードで12位タイだったから、飛距離で20ヤード近く、ランキングでは64位も後退しているのだ。

 もっとも、今年の方が飛距離伸びているプレーヤーもいる。

 例えば、フレッド・カプルスは、昨年の288ヤードから300.5ヤードと大幅にアップさせているし、飛ばし屋のババ・ワトソンは、昨年の315.2ヤードから316.5ヤードへとわずかながらだが、飛距離をアップさせ、このカテゴリーのトップの座を保持し続けている。

 必ずしも、用品の制限などで、飛距離が落ちているわけではないのだ。

 あるいは、今田竜二と丸山茂樹は、今季ともに平均276.1ヤードを飛ばして、ランキング140位タイとなっているが、昨年の今田は282.6ヤードでランキング149位、丸山は277.7ヤードで180位だった。

 つまり、飛距離を落としてもランキングは上がっているのだから、ツアー全体で見れば、かなり飛距離の地盤沈下が起きていることがわかるはずだ。

 今季6試合しか消化しておらず、統計上の誤差とも考えられるが、基本的には、年々ツアーの開催コースのラフが深く、コースセッティングが難しくなっていることも、大きな要因と言えるだろう。

「ツアープロたちが飛距離よりも方向性を重視する傾向にある」と、ジョニー・ミラーが語っていたが、実際にトレンドが変わってきているのは間違いがなさそうだ。

 AT&Tでシンを破って優勝したS・ローリーのこの試合での飛距離は“戦略性重視”の266.3ヤード。

 今年は、あるいは、飛距離を出さなくても勝てる状況ができつつあるといえるのかもしれない。

 とすれば、丸山や今田にも今季優勝のチャンスが広がったと思われるのだが?

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