ドライバー1本26万2500円、ウェッジ8万4000円、パター10万5000円、ウッド4本のフルセットを組めば169万500円(税込み)にもなる超高額クラブ、3代目『アクロクラス』がセイコーエスヤードから来月発売される。いまどき。これほどの高額クラブを出して勝算はあるのだろうか。
|
セット170万円弱のアクロクラス。 これを買える人はセレブクラス?
|
ここ数年、クラブが売れないという声をよそに、堅調に推移してきたのが1セットで揃えればゆうに100万円を超えるような超高額プレミアムクラブだ。
横綱格はマルマン『マジェスティ』だが、この春セイコーエスヤードの『アクロクラス』、ミズノ『グランドモナーク』のニューモデルが相次いで発売され、約40億円とも言われるニッチな市場で、牌の奪い合いが激しくなりそうだ。
平成19年3月?8月期に売上対前年135パーセントを達成、9月からの下期も143パーセントと高水準で推移しているのは名古屋の松坂屋本店。
売上げ増に貢献したのがプレミアムクラブだ。
「昨年モデルチェンジした『マジェスティ』の売上だけで4500万円」(松坂屋名古屋店バイヤー・渡辺智邦氏)。
元気な名古屋を象徴するかのようだが、実は緻密なマーチャンダイジングの成果だ。
同店ではゴルフ売場といえどもネクタイ・スーツでの接客、売場に絨毯を敷いたり、量販価格帯の商品をあえて店頭に並べないなど徹底した高級志向へとシフトした結果、全国平均で3?4パーセントといわれる10万円以上のクラブを購入する客の比率が、35パーセントにまで達するというから驚きだ。
消費の冷え込みも懸念されるが、景気の動向にあまり左右されないのがプレミアムクラブを購入できる富裕層だ。
だが、ニッチな市場そのものが急激に拡大することはさすがにない。
「IT系の若い人たちは、いわゆる“おじさんクラブ”には興味を示さず、むしろキャロウェイなど外ブラを好みます。クラブよりもキャディバッグやウェアなどより目立つモノに金をかける」(渡辺氏)からだ。
その一方で、
「『マジェスティ』を一度買った人は、下のクラスに戻ることはなく、次も『マジェスティ』」(渡辺氏)とメーカーと販売店の双方にとってユーザーを囲い込めるメリットはプレミアムクラブだからこそ。
『マジェスティ』の強みはまさしくここにある。
開発、原材料、製造に十分コストをかけた品質に対する評価もさることながら、他社に先駆けて96年からプレミアム価格帯にシフトして以来、時間をかけてユーザーを取り込み、ブランドイメージを構築してきたことが大きい。
これに対して『アクロクラス』は、画一的なナショナルプロモーションではなく、販売店ごとの個別販促を強化して挑む。
「数を売る商品ではないので、誰でも彼でも勧めればいいというわけではなく、お顔の見える方に対して『アクロクラス』のよさをアピールしていきたい」(セイコーエスヤードゴルフ用品部・九野忠彦氏)
プロとのラウンドやゴルフクリニックなどの仕掛けもこの価格帯の商品ならば費用対効果が十分に見込めるし、百貨店の外商スタッフと一体になったセールスも効果を上げそうだ。
また、『アクロクラス』は初めて女性モデルをフルラインナップで登場させた。
市場拡大にも期待が寄せられている。
|