ヨネックスの「遼くん効果」の勢いが止まらない。シーズンを前に全国で実施している受注会では、各アイテムとも2倍、3倍の受注を獲得。ゴルフ部門の売り上げを、近い将来、従来の2~3倍にしたいと意気込む。しかし、16歳のひとりの少年にそれほどの波及力があるのだろうか。今後、実際の消費者の反応が注目される。
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この写真も経済効果アップに荷担している?
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昨年5月のツアー優勝以来、石川遼に関係するものは何でも注目が集まり、売れ行きが急増した。
なかには、イアン・ポールターのヘッドカバーのように、入荷即完売の状況がその後何カ月も続く商品まであった。
そうした“石川遼効果”は1月25日以降、用具契約を結んだヨネックスに集中して見られる。
なかでも驚かされたのは株価への影響だ。
同社株は日経平均が全面安の市況のなか、契約発表後、最初の営業日から2日連続でストップ高。それ以降も800円台の高値で推移している。
また、契約の話題はスポーツ紙に限らず、ワイドショーでも大きく取り上げられた。
さらには、人気バラエティ番組でも扱われるなど露出効果は絶大で、広告業界では契約直後の4日間の報道だけでも、広告料金に換算すれば4億円にもなると見積もられている。
10年6億ともいわれる契約金だが、契約直後にかなりの元を取ったことになる。
こうした勢いのなか始まった同社の「08年新製品発表受注会」は、どのアイテムも予想以上の注文を受けている。
「受注会は全国9か所で開催中ですが、半分を終えた時点で、ドライバーとFWは昨年比187パーセント、アイアンは同203パーセントのご注文をいただいております」と企画宣伝部長の山本美雄氏。
また、石川遼が使用しているアイアン、サイバースターフォージドCB(05年で販売終了)の復刻限定発売セットの注文も、既に販売予定数の1000セットをオーバー。
最終的には2000セットの注文を受けるとみている。
これまで店頭に置くショップが少なかったウェアだが、これも今季からは様相が変わる。注文が殺到し、取扱店は一気に2~3倍に増えるとみられる。
当然、売り上げはそれ以上になるはずだ。
「ヨネックスのウェアは機能性に優れており、ブランドにこだわらない年配の方を中心にリピーターが多かったんです。遼くん人気で、これからは若いゴルファーに指名買いが増えるでしょうね」と、今から売り上げ増を確信するのは、従来から扱ってきた有賀園ゴルフの担当者。
ウェアではもうひとつ材料がある。
石川遼は従来のモデルとは別の特製ウェアを身につけている。
その“石川着用モデル”がこの春に発売されることが決まっているのだ。
3月8日からは石川遼が登場する同社テレビCMもオンエアされる。
ヨネックスの「yy」ロゴが、ゴルフ場のそこかしこで見られることになるのかも。
契約直後、米山勉社長は「ゴルフ部門の売り上げは、全社の10パーセント程度の30億円規模ですが、これをいずれは50億円、100億円に伸ばしたい」と期待を込めて発言していたが、市場のフィーバーぶりをみると、そうなる日はそう先の話ではないのかも。
同社は、石川遼人気に乗じ一方で、独自にジュニア育成の何らかの活動を展開するとしている。
そちらにも遼くん効果が発揮され、ゴルフの活性化につながることを期待したい。
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