冬のゴルフといえば、これまでは何枚も重ね着をするのが当たり前だったが、最近、そんな“常識”が変わりつつある。というのも、高い防寒・保温効果がありながら、プレー時の体の動きを妨げない機能性アンダーウェアを着るゴルファーが増えているからだ。ゴルフ専用ではないが、ユニクロの店頭から機能性ウエアが売れて姿を消したとの報道もあった。そんな機能性ウェア、どのブランドが売れたのか、調べてみた。
ゴルフ5広報担当の加藤定巳さんによると、「当社の全国175店では長袖のインナーシャツ系を中心に前年比130パーセントという好調な売れ行きです。アンダーアーマーの下物(タイツ)、アウターではナイキの袖が付け替え可能な2ウェイタイプも人気です。機能性をより重視した当社のオリジナル、ティゴラもよく出ていますね」
二木ゴルフ大宮店では、アンダーアーマーが断トツの人気。中でもコールドギア、メタルコールドギアが売れ筋だ。
「ミズノのブレスサーモや、当社とグンゼが共同で開発したオリジナルブランド、ジョニーフライも好調です。ジョニーフライは2200~2500円という価格が支持されたようです」
有賀園ゴルフ新横浜店でも、アンダーアーマー、ブレスサーモ、ツアーステージなどを中心に昨年より3割増の売り上げだ。
「アンダーアーマーは首元にワンポイントのマークが入ったメタルコールドのハイネックタイプが、オシャレにうるさい若い人たちに売れています。ゴルフの時だけではなく、普段着としても定着してきたのが人気の秘密かも知れませんね」
ちなみに、人気のブレスサーモは、現在の機能性アンダーウェアブームのきっかけとなった商品で、哺乳類や鳥類の体温維持メカニズムに着目してミズノが開発した発熱素材だ。
汗をかかなくても人は皮膚から水分を蒸発させているが、その水分を吸湿する際に生じる吸着熱によって約2℃の保温効果を発揮。しかも、それが長時間持続することで温かな着心地が得られるという。
ブレスサーモは、もともとは94年リレハンメルオリンピック日本ナショナルチームのスキーウェアの中綿として開発された。その後、幾多の改良を経て発売され、2003年には280万枚の販売枚数を記録した。
「今年1月は前年同月比120パーセント、2月は雪が多く寒かったこともあって同155パーセントぐらいになりそうです」(ミズノ広報室・西田維作さん)
一方、ブレスサーモとともに、ブームを牽引している感があるのがアンダーアーマーだ。
アメリカンフットボールの選手だったケビン・フランクが設立したブランドで、設立からわずか10年で急速な成長を果たしたことでも知られる。ブランド名にあるアーマーとは鎧の意味。
ユニフォームの下に着る鎧=アンダーアーマーというわけだ。
ゴルフギアサージの朝日貴信さんは、「同じ機能性アンダーウェアでもブレスサーモとアンダーアーマーは、お客さんの受け取り方が全く異なります。ブレスサーモはインナーとして使われますが、アンダーアーマーは表に見えることを前提にして、ファッション性を特に重視しています。長袖の上に半袖を重ねるなどインナーを見せる着こなしを提案することで、若い人たちを中心に今までなかった市場を開拓したことが大きな流れを作ったのではないしょうか? この冬はウチでも過去にない勢いで売れています」
ゴルフメーカー以外にも、イチローが愛用していることで有名なワコールのCW―Xなどもあり、寒さが続くこれからも、機能性アンダーウェアはまだまだ売り上げを伸ばしそうだ。
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