ゴールドマンサックス(GS)グループ主体での再建案の是非を問う、成田GCの債権者集会が3月19日、東京地裁で開かれた。結果は出席債権者数731名(書面投票分含む)のうち債権者数で66.21パーセント、債権金額で74.38パーセントを獲得したGS案の勝利。浜野GCや木更津GCで逆転負けを喫したGSが、成田は制する結果になった。
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債権者集会でGS案が勝った成田GC
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日本を代表する一流企業が法人会員としてきら星のごとく名を連ねる成田GC(千葉県)。かつては法人専用コースだったが、預託金償還対策のために分割を実施、その分割会員権の換金のために個人会員が誕生している。
その成田GCの経営権をGSが取得したのは今から約2年前の平成18年5月。それから1年半が経過した昨年10月、GSは成田GCの民事再生手続開始申立に踏み切った。
これに反発したのが、自身も成田GCの会員であるゴルフ場問題に詳しい西村國彦弁護士を始めとする一部会員グループ。会社更生手続きの開始を申し立てて対抗することに。
実際の手続きでは会社更生手続きのなかで選任された調査委員が調査は実施し、一方東京地裁民事20部担当で先行している民事再生手続きでは、会社側の再生計画案の可否を債権者集会で問い、否決されたら会社更生手続きへの移行を、担当の東京地裁民事8部が判断するという方法が採られた。
その会社側の再生計画案の可否を問う集会が、3月19日の集会だったわけだ。
成田GCが民事再生手続きを申し立てた時点では、430億円の負債総額のうち、預託金総額は335億円。会員口数は正会員1428口、平日60口。内訳は法人が930口に対し個人498口。
複数の口数の会員権を保有する法人があるため、預託金債権額では個人101億円に対し法人234億円、債権者数では個人509名に対し法人313名だった。
その後、経営会社がかつて77億円の代金を回収することなくタダで子会社に発行していた会員権や、複雑な操作を経て計上された子会社から経営会社への債権などを問題視する主張を西村弁護士側が展開。
冒頭の得票結果について、西村弁護士ら一部会員の善戦と見るか、予想外の敗北と見るかは解釈の分かれるところだろう。
今回の結果について西村弁護士は「黙っていればGSの利益になってしまったであろう担保権や架空会員権を、手続きから除外させることができた。その分、会社側の再生計画案に於ける配当率を、当初GS側が考えていた水準よりも上げさせることはできたのではないかとは思っている。
とはいえ負けは負け。残念だが結果は真摯に受け止めたい。ただ、今回の一連の手続きに於ける裁判所の姿勢には憤りを感じる」という。
「今回、GSはとうとう再生計画案についての債権者説明会すらしなかった。我々が問題視して手続きから除外させた担保権や架空会員権にしても、我々が独自に調べて追求しなかったら、一切説明しないですまされるところだった。それは指導力を発揮しなかった裁判所の責任でもある。
以上は、債権者集会の冒頭で、担当の西謙二裁判長が、この計画案が否決されれば破産になる、という発言をしたことに象徴されている。否決されれば更生手続きに移行することはほぼ間違いなかったのだから、信じがたい発言と言わざるを得ない」と憤る。
ともあれ、今はGS案に賛成票を投じた会員に応える運営を願うばかりだ。
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