連日のように新聞を賑わしている米国のサブプライム問題。ゴルフ界には、あまり関係がないようにも思われるが、実は、米国のゴルフ場ではかなり深刻な問題となっているのだ。
最近では、金融商品化したサブプライムローンが不良債権化しつつあることから、金融・証券関係の企業の業績赤字や、このためによる株安やドル安ばかりが注目を集めるようになっている。
しかし、この問題の発端は、なんといっても不動産バブルにあるといっても過言ではない。
サブプライムというのは、低所得者向けの金利の高い住宅ローン。最初の数年間は金利が安かったり、金利だけで元本を返済しなくても許されていたり、さまざまな形があるが、不動産価格が大きく値上がりしている間は、金利が上がった段階で借り替えたりすることも可能だった。
さらには、審査が簡単なことから、サブプライムを利用して、高級リゾートなどで不動産投資をする人間も少なからずいた。
過去数年、アメリカの住宅・不動産価格は日本のバブル時代のように高騰し、住宅は作れば売れる状態だった。そうしたなかで、不動産を販売するために、付加価値の高いゴルフ場が新設されるということが、少なからずあった。
実際、昨年米国でオープンしたゴルフコースの70パーセントが、隣接地の不動産販売を行っているという統計がある一方、サブプライム問題で、もっとも打撃を受けたのが、カリフォルニアとフロリダのリゾートだったのだ。この2州は、アメリカで1、2を争うゴルフ州であることを考えれば、何が起こっているかは想像に難くない。
すでにフロリダのゴルフ場では、「不動産の販売が、前年比で20~30パーセント前後も減少している」(地元業者)という話も聞くし、不動産価格が下落し始めているなかで、新設コースの着工数が激減しているとの話もある。
ナショナルゴルフファンデーションの調べによれば、昨年、新設コースの開場数が閉場数を下回り、18ホール換算で8.5コースとわずかながらだが、米国のゴルフ場数が減少したのだ。
このニュース自体は、ゴルフ界全体としては、さほど悪く受け止められていない。というのは、過去10年というもの、アメリカのゴルフ人口そのものは、ほとんど横ばいであったにもかかわらず、不動産を開発するための新設コースが増え続け、いわばゴルフ場の供給過剰が起きていたからだ。
ただ、問題はこれからで、これまでは、1ゴルフ場あたりの入場者数が減っても、グリーンフィが全体として値上がりしていたためにバランスが取れていたが、これで不況となると、閉場を余儀なくされるコースが続出する可能性もあるからだ。
金利の引き下げや資金供給など、米政府はさまざまな施策を打ち出しているが、まるでかつての日本のポスト・バブル期を見ているようでもある。
米ゴルフ界が、ソフトランディングすることを願うばかりだ。
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