「何故だ。」土壇場に来て、今秋オープン予定の千葉市民ゴルフ場が運営を委ねる「指定管理者」が宙に浮いたままになっている。今年1月に選定されたJV(共同事業体)に加わっていた日本プロゴルフ協会(PGA)が協力を否定したためだ。なぜこんなことになったのか、千葉市当局者は困惑するばかりだが……。
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今後はどうなる?
指定管理者が宙に浮いた千葉市民ゴルフ場
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この「指定管理者」とは、ゴルフ場の運営をすべて預かり、選定されるメリットは大きいといえる。それだけに慎重に選定されたはずだったが、どういうことなのか。
当初選定されたJVは、「千葉市民ゴルフ振興共同企業体」。代表は京葉CCと内山緑地、協力団体筆頭に名を連ねるのがPGAだ。
千葉氏若葉区にある一般廃棄物最終処分場跡地にゴルフ場建設がはじまったのは2年前。総事業費は約24億円。同市施設維持課によると、年間維持費は1億8000万円で、プレー代を安くしても採算は取れると見込み、建設着手に及んだ。その設計監修には片山晋呉が参画している。
そして、昨年10月「指定管理者」の募集を開始した。同月の説明会と現地見学会にPGA側から課長が参加しているのだが、なぜPGAから人が来たのか、千葉氏の当局者は「不思議な気もしたが、お断りする必要もなし」と判断したという。この段階では、まだ京葉CCにはPGAからの接触はない。
その後PGAの誘いにより京葉CCは「管理者」への応募を決めたという。同CC内山緑地とJVをつくり11月の指定申請にPGAトーナメントプロ部長の「関心表明書」を添付。但しこの表明書にはPGAの松井功会長の印ではなく、ある理事の個人印が押されていたという。
年明けの1月8日、「指定管理者」に応募した9団体のヒアリングが行われ、このJVが選定された。審査項目は次点JVを大きく上回る高得点を取ったといわれるが、PGAの表明書に書かれた「ジュニア育成のゴルフ教室の開催」「イベント協力」が高い評価をあげたともいわれる。それが突然2月に入り、同市に、「表明書」はPGAの総意ではなく、プロジェクトへの協力を撤回するとの申し入れが連絡された。
あわてたのは同市ばかりではなく京葉CCも同じだ。同CCの瀧波貴之代表取締役はこう憤る。「先方からの協力要請で参画したのに、今度は自分たちの都合で協力できないとは、何なのか。信義にもとる」
PGAは「特定の業者を肩入れするのはよくない」としている。事態の混乱で、PGAは松井会長から謝罪があったが、単に謝っただけだ。
図らずもPGA内部は意思統一が図れず、一枚岩ではないことを露呈してしまったとも思えるのだが……。
PGAの豹変は憶測を呼ぶ。選定に漏れた他のJVがPGAに圧力をかけたのではという考え方も出てくる。公共団体の事業には、利権が絡むことは多いし、うま味もある。それだけに選定作業は一層の慎重さが要求される。
同市は、当初選ばれたJVは、PGAの協力だけでなく全体の評価が高かったというが、それならPGAの協力がはずれてもそのままこのJVでいけばいいとも思うが、再選定作業では、「10月オープンは変わらない。6月議会で決めなければならない。一からではないにしろ、ある程度の見直しは行われる」と同市社会体育課。
時間はないかもしれないが、公明性や透明性を確保するためには、どこのJVが選ばれようとも、だれもが納得できるものでなければならない。
だとしたら、審査項目も恣意的な部分を廃して、市民ゴルフ場としての特色を生かしたアイデアや地元に貢献度の高いJVに選定するべきとも思えるが。
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