ジャパンゴルフツアー選手会では、大会ごとに、出場プロを対象に「ツアートーナメントに関するアンケート」調査を実施している。各大会の運営について10項目で点数評価(10点満点)をするもので、その昨季の集計結果が発表された。それによれば、昨季の総合1位には三井住友VISA太平洋マスターズ(太平洋C御殿場コース)が2年ぶりに返り咲いた。
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選手による2007年ベストトーナメントは
石川遼も出場した三井住友VISA太平洋マスターズ
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同調査は「コースセッティング」「コースコンディション」など、コースと練習場関連の6項目に、「レストランのメニュー内容と料金」「選手に対するもてなし度」「セキュリティ」、そして「総体的な印象」の計10項目について選手が点数を付けるもの。
現行の調査は2004年からで、今回が4回目。過去の総合1位は2004年と2006年がダンロップフェニックス(フェニックスCC)、2005年と今回の2007年が太平洋マスターズ。この2大会が交互に1位になっているのだ。
ちなみに2位以下は、セガサミーカップ(ザ・ノースカントリーGC)、サン・クロレラクラシック(小樽CC)、ダンロップフェニックス、UBS日本ゴルフツアー選手権(宍戸ヒルズCC)の順だ。
ところで、太平洋マスターズの評価の内訳だが、コースに関する4項目と「総体的な印象」の5項目でトップ。つまり、コースの良さで点数を稼いだのだ。
横田真一プロもその点を高く評価する。「とにかくコース管理のスタッフの熱意がすごいんです。本当にプレーヤーのことを思って仕上げてくれています」として、例えばティの芝刈りは、全面順目になるよう――逆目で手首を痛めることのないよう――わざわざ一方向から刈るようにしているなど、手間もかけていることの実例をいくつか紹介してくれた。
さらに、「グリーンを速くするには、砂をまいてローラーで転圧をかけるのが簡単なんです。でもあそこは芝の密度を上げて、かつ速いグリーンなので、アプローチのスピンがちゃんと効くんです」と、いいショットがきちんと報われるセッティングであることも熱く語る。
舞台裏をよく知る運営関係者も「もともとコースの設計がいい上に、ゴルフ場側が管理にも大会運営にも情熱を燃やしているから、当然と言えば当然の評価」と証言したうえで、「太平洋クラブにとっては、御殿場コースはグループの顔ですから、営業戦略上、全面バックアップは当たり前なんでしょうけど」といった見方も披露する。
一方、今回2位のセガサミーカップだが、コース関連以外の2部門で1位の評価。もともと同大会は主催者のセガサミーが――女子ツアー人気が沸騰する2005年から――、男子ツアーを応援するために創設した大会。
そのため「すべての面で、どうすれば選手のためになるかを一番に考えた運営をしています」(支配人・太田康裕氏)という。例えば、主催者にとっては大事なはずの来賓はクラブハウスを利用できない(特別テントを設営)半面で、選手(帯同キャディ、ファミリーとも)はレストランをすべて無料で利用できるのだ。
こうしてみると、この2コースもそうだが、上位評価には開催コースが主催者になっている大会が並ぶ。反対に、いわゆる名門クラブで開催される大会の名がない。結局、運営の主眼が「選手やギャラリー」か、あるは「スポンサーや(コースを借りる)クラブ」か。主眼の向きが反映された結果なのだろうか。
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