マスターズに沸くトーナメントの裏側で、女子ツアーがすごいことになっていた。ロレーナ・オチョアが母国メキシコで行われた試合で優勝、ツアー3連勝を飾ったのだ。オチョアにとっては、前週のメジャー、クラフトナビスコ選手権より、今回のコロナ選手権のほうが、意味のある試合になったといえるのかもしれない。
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タイガーより先に年間グランドスラムも夢ではない?
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マスターズには、宮里藍や上田桃子がのんびり観戦に来ていたが、同じ週に開催されたコロナ選手権では、女子ゴルフの歴史に一行が付け加えられていた。オチョアが初日からトップのトータル25アンダー、2位に11打差という圧倒的な強さを見せただけでなく、この試合の勝利によって、オチョアは、ゴルフの殿堂入りの権利を獲得したからだ。
「本当にすばらしい週だった。これで、私は殿堂入りしたプレーヤーだと人に言うことができる。もっとも、本当の殿堂入りには、あと数年待たなくてはならないけれどね。でも、自分の国で殿堂入りの権利を獲得できたのは特別なこと。メキシコの人は、みな私が殿堂入りをここで決めたことを覚えているだろうし、私にとっても、生涯の最高の思い出になるはず」とオチョア自身が語っている。
LPGAのカテゴリーによる殿堂入りには、10年間の米LPGAの選手としての活動期間が必要で、実際には2012年まで待たなくてはならない。LPGAの殿堂入りは、通常の試合で1ポイント、メジャーで2ポイント、そして年間最優秀プレーヤー、年間の平均ストロークのトップのプレーヤーに、それぞれ1ポイントずつが与えられ、その合計が27ポイントになると、基本的には自動的に殿堂入りの権利が与えられる。
オチョアの場合は、2005年までに3勝で3ポイント、一昨年は6勝に、最優秀選手賞、最少ストローク賞で8ポイント、昨年はメジャー1勝を含む8勝、プラス両賞獲得で11ポイント。そして今年は、ナビスコを含む4勝で5ポイントを獲得して、殿堂入りを決めているのだ。
こうして振り返ってみると、なにやら、オチョアの強さが年々加速されているようで、どこまで行くのか見当もつかないほど。今年は5戦して4勝だか、その4勝というのも、11打差、7打差、5打差、11打差という他を圧倒したぶっちぎりでの勝利。今がピークというよりも、まだまだ上り坂の26歳、この調子でゆけば、2002年にソレンスタムの作った年間11勝という記録だけでなく、1963年にミッキー・ライトの作った年間13勝というLPGAの記録も更新しそうな勢いだ。
米女子ツアーで、初勝利を狙う宮里や上田といった日本人プレーヤーにとっては、オチョアの全盛期と重なってしまったことによる不運も見逃せない。そのオチョアがグランドスラムを含めて、どこまで記録を伸ばせるのか、今年のLPGAから目が離せそうもない。
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