用具ルール改訂で今年から新たに誕生したアジャスタブル(調節可能)ドライバー、その特徴を最初に活かしたのはP・ミケルソン、E・エルスなどトッププレーヤーだった。
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シャフトの差し替えが可能なキャロウェイi-Mix
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今年、2008年のゴルフルール改訂で実施された「ゴルフクラブ調節性の緩和(付則-1b)」により誕生した個人で簡単に調節出来るアジャスタブルドライバーが、この春キャロウェイ、テーラーメイド、ニッケントゴルフなど数社から発表され、既に一部の製品は市場で販売が開始されている。
R&AやUSGAは、「この規制緩和により、プロがツアー現場のツアーバンで行っているような最適なクラブ調整を、一般ゴルファーも自分で条件に合わせてできるようになる」とルール改訂の効果をPRしている。
しかし、日米ゴルフ市場の反応は微妙で、日本では、一般ゴルファーが調節するためにはある程度の技術的知識が必要であるため、カスタムフィッティングの進化形としてショップの指導が必要だと、限定した特約ショップを通しての販売を予定しているのが実情だ。
一方、キャロウェイゴルフ米国本社から届いたニュースによると、同社契約のミケルソンが、今年発売したアジャスタブルクラブ「i-Mix」をマスターズ用に調整しバッグに入れて使用したとのこと。
エルスもヨーロッパツアーのドバイクラシックで既に「i-Mix」を使用し、2人ともこの新しいシステムに満足しているそうだ。
皮肉にも世界のゴルフ協会が「一般アマチュアゴルファーにプロと同様のフィッティングを」との主旨で改訂したルールは、トッププレーヤーによる利用から始まったわけだ。
考えてみれば、昨年、高反発フェース規制対策で生まれた高慣性モーメントのスクェアヘッドドライバー「FT-i」を最初にツアーで使用したのもミケルソンだったし、今年のマスターズで優勝したトレバー・イメルマンが使用したドライバーもナイキの高慣性モーメントモデル「サスクワッチスモー5000」だった。
特に今年のマスターズのコースセットアップは厳しく、飛距離より正確性が求められたということで、高慣性モーメントクラブは有効な武器となった。本来アマチュア用に開発されたクラブがプロにとって有効な武器となっているのだ。
このことから、これまで世界のゴルフ協会(R&A、USGA)が行ってきた様々な用具規制や今回の規制緩和に対応して誕生した画期的な新製品の恩恵を享受してきたのは世界のトップスターたちで、一般のアベレージゴルファーがその恩恵をあまり実感できないうちに、ゴルフ用具が進化し続けていると言えるのかも知れない。
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