一緒に回るメンバーを募ったものの、集まったのが「5人」となったときが一番困る。せめてあと一人と、もう一苦労せざるを得ない。国内には、「5サムプレー可能」なゴルフ場は皆無に近い。そのためか、逆に、「5人プレーOK」を謳った千葉県のゴルフ場が年間900組近い数の5サムで賑わう人気コースになっていた。
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意外にスムーズに回れるとか。5サムOKの千葉よみうりCC
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そのゴルフ場というのは、千葉県市原市にあるパブリックコースの千葉よみうりCC。もともと“ゴルフの大衆化”を図ることを主旨に、30年前にオープンしたゴルフ場。そのため、低料金化につながる合理化やビギナー向けのイベント等、従来の枠にとらわれないユニークな運営を積極的に導入してきた。
最近も、スクランブル競技によるチーム戦の普及を支援したり、グループの、よみうり文化センターとの共同企画で、道具を持たない、まったくの初心者にコースプレーを楽しんでもらう教室を開講。大勢のシニアや女性を呼び込むことに成功している。
「5サムOKとしたのも、その一環で12年も前からやっています」(林一郎支配人)
同CCのスコアカード、よく見れば5サム用になっている。
「5人プレーは、スロープレーになりがちという批判もありましたが、まずはやってみて、それでどうしても改善できなければ、最後はやめればいいと割り切って取り組んでいますから」(林支配人)
とにかく“ゴルフの入り口”に徹し、ゴルファーのニーズに可能な限り応えることで、ゴルフ愛好者を増やそうというのだ。
そうして始めた5サムだが、今では年間900組近いプレーヤーを呼び込む人気に。懸念されるスロープレーも、プレーヤー側がかえって気を遣うので、後続組からの苦情はほとんどないという。
他にも、「5サム可能」のゴルフ場を検索したところ、山梨と宮崎にあったので問い合わせてみたのだが、こちらはいずれも現在は断っていた。やはりスロープレーが原因。「5人のハンディキャップ合計に上限を設けて、スロープレーにならないよう工夫したのですが……」と宮崎の某ゴルフ場。
ゴルファーの気質とか、コースレイアウトといった要素から、どこでもスムーズに5
サムを導入できるわけではないのかも。
しかし、例えばアメリカでは許されるコースが多い。
「あるコースの注意書きに、1組6名までにしてくださいと書かれてあったくらいですから、アメリカでは上限4人が当たり前という発想がないのかも」と語るのはゴルフ場運営コンサルタントの菊地英樹氏。
ゴルフ場の市場が成熟し、ゴルファーのニーズが多様化した今、ゴルフ場側の都合ではなく、ゴルファーの要望に応えるのがビジネスとしての基本。
「やってみて問題があれば、その問題の対処法を考えればいいのであって、初めからゴルファーの要望に応えようとしないのは、経営の発想からおかしいのでは……」(菊地氏)
バブル崩壊以降、日本のゴルフ場では2サムOKが増え、現在は18ホールスループレーが徐々に広まりつつある。従来、当たり前と思われていた運営が少しずつ変化している。とすれば、いずれは5サムも珍しいスタイルではなくなる日が来るのかも知れない。
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