サントリーレディスで3カ月ぶりに、日本ツアーに参戦した上田桃子。その間、米ツアーで9試合戦い、最高成績は5位、賞金ランキングは35位と、まずまずの成績をおさめた。慣れない食事や長距離移動など、初めて挑んだ娘のアメリカ生活を、母の八重子さんが語ってくれた。
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米国生活をエンジョイする? 桃子。
リフレッシュして米本土1勝を目指す
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ロサンゼルス郊外に住まいを構える宮里藍とは違い、桃子は米本土に拠点がない。4日間の試合が多い米ツアーでは、移動を含めると1週間の休みは月曜日だけ。言葉も不自由でストレスが溜まるのも無理はない。しかし、母は意外な言葉を口にした。
「アメリカはどうですかって聞かれたら、まず『楽しい』の一言。大変は大変ですけどね。私と桃子と、マネジャーの福田奈生さん、キャディのグッチ(川口淳)さん、トレーナーのべジ(浅井利彰)さんの共同生活はまるで家族のよう。
『チーム桃子』と呼ぶ5人のメンバーはみんなおしゃべり好きで、食事も一緒。いつも親切にしてくれる藍ちゃんがおいしいお店を教えてくれるので、食事の心配もありません。食事を終えたら反省会。
私は技術のことはわからないけど、『ボギーを叩いたら、気持ちの切り替えが難しいじゃないのぉ』とか。チーム桃子で遅くまで話すんです。1打1打を同じ思いで応援している仲間たちとの話は楽しいですよ」
毎日を楽しく過ごせるのも同じ苦労を分かち合えるからだ。「宅急便がなく荷物を運ぶのも一苦労。日本と違って、国内移動は空港に2時間前着。それから7時間をかけての移動。半日以上時間がかかることもあります」
長距離移動に加えて時差もあるアメリカ生活。それよりも桃子にとって大きな重圧があった。「桃子が一度コース以外で涙を見せたことがありました。アメリカ本土での初の予選落ち。
人一倍責任感の強い桃子は、障害を持つ姉を残してきた私や家族を置いてきたキャディさんたちに、結果がついて来ないこと以上に、『気にしないでいいよ』と声をかけてくれたその優しさが重荷となってか、涙したんです。
選手たちとのコミュニケーションも言葉の壁が厚くて、みんなが可愛がってくれるのに、感謝の言葉すら直接返すことができない。マネジャーさんを通じてしか会話ができないことがつらかったようです」
そんな生活のなかで、昨年日本で喧嘩が絶えなかった親子の関係にも少し変化が見られた。「変わりましたね。『いつもありがとう』って素直に口にするようになったんです。感謝の気持ちは伝わっていても、言葉にするのは日本ではなかったことでした。それと、私に手紙をくれたんです。『~お母さんありがとう。このアメリカツアーにお母さんがいなかったら、私がどうなっていたかわかりません~』(手紙一部抜粋)。私はその手紙を読んで泣きました」
日本で父や兄弟を過ごした10日間で桃子も母もリフレッシュできた。今週金曜日に成田を出発し、来週開催のメジャー第3戦、全米女子オープン(6月26~29日)に乗り込む。
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