日本プロゴルフ協会(PGA)では、今年からシード権を持たないが、トーナメントプレーヤー資格を有するプロを対象に、いわゆるミニツアーの「PGAウイニングツアー」を立ち上げ、先週から全国7会場で順に地区大会を開催している。なぜPGAはこの時期に、スポンサーの付かないミニツアーに乗り出したのだろう。
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高いレベルでの試合に出られるので
励みになる、と中村貴志プロ
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新ツアーの概要を簡単に紹介しよう。賞金総額300万円の地区大会(18ホールストローク競技)は先週から8月の初旬まで、全国7地区で順に実施されている。出場資格は今年の日本プロに出場した、今季ツアーのシード権を持たない選手。
同じく日本プロの予選会の上位者。それと各地区からの選抜選手で、各大会とも最大144人が出場できる。
そして、各地区大会の上位者は、8月19、20日(36ホール)に千葉県のきみさらずGLで開催される決勝大会(出場144人、賞金総額1000万円)に駒を進めることができ、その上位5人には来年の日本プロ選手権の出場権が与えられる。ミニツアーとはいってもPGA主催の試合だけに、最終的なご褒美はビッグだ。
PGAではこの目的について、「ツアーの出場機会に恵まれないトーナメントプレーヤー会員に対し、試合勘を養い、研鑽を積んでもらう機会を提供するため」(事務局)としている。
実は、PGAでは2001年と02年にも、同様の主旨の「セクションツアー」というミニツアーを行っている。残念ながら同ツアーはコスト面の問題から中止となった。今回は6年ぶりの復活だが、やはり経費の課題はクリアされていない。つまり、スポンサーはなし。
PGAの負担は賞金総額の合計3100万円にとどめ、競技の運営費用は選手からの出場料(地区大会5250円、決勝大会1万500円)で賄いたいとしているが、多少の持ち出しも覚悟。それでも、とりあえず来年までは開催したいとしている。
もちろんこのツアーは、選手には大変好評のようだ。「ミニツアーといっても、この間までシード選手だった方もいるレベルの高い試合でプレーできるのはありがたいです。それに決勝大会、その先の日本プロと大きな目標ができるので、練習の励みにもなります」と語るのは、17日に千葉県・房総CCで実施された大会で優勝した中村貴志プロ(昨年のプロテスト合格者)。
国内ツアーの出場権を持たないプロにとっては、何かと刺激になる、意義のある大会であることは間違いない。
もっとも、PGAがこうした新たな事業に乗り出した背景は、今年12月から始まる公益法人の新制度に伴い、現行公益法人の見直しが行われるという事情がある。
法人の公益性が認定されるには、全支出のうち50パーセント以上が公益目的事業に使われていることなど、より厳しい要件があり、PGAもそれに沿った活動を展開する必要があるのだ。
ただ、昨今の世情からすれば、「同じ公益法人でも、PGAを審査するより前に、巨額の税金が投入されている公益法人の無駄遣いを調べる方が先だろう」という思いはぬぐえないのだが……。
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