世界的な原油価格の高騰は社会の至るところで深刻な影響を投げかけている。それはゴルフ場でも例外ではない。ゴルフ場ではプレー後にお客が入浴するため、毎日大量のお湯を沸かす必要がある。そこで多量の重油を必要とするが、昨今の重油代の高騰が経費の大幅アップを招き、ゴルフ経営を圧迫していることは間違いないだろう。そんななか、エコを見据えながら省コストを図っているゴルフ場に迫った。
|
エコキュートでコスト削減を狙う
伊豆大仁CC
|
伊豆大仁CC(静岡)では昨年からエコキュート(ヒートポンプ給湯機)を導入、省コストを図っている。
エコキュートとは、大気中の熱を吸収し、その熱を自然冷媒の二酸化炭素に移して圧縮、そのエネルギーを利用してお湯を沸かすという新システム。火を全く使わないので、煙やスス、臭いが発生せず、そのためクリーンで、しかも使用する電気の3~4倍もの高いエネルギー効率が得られるほか、ランニングコストが安いのが特徴だ。
さらに、二酸化炭素の排出量を削減するというから、地球環境保全にも貢献するシステムといえるだろう。
エコキュートのメリットはいくつかある。例えば、1日に60組の来場者があるゴルフ場の場合、従来の燃焼式システムからエコキュートに替えると、設備投資は約2500万円かかるものの、1年間のランニングコストは約540万円から180万円へと大幅な削減が可能となり、設備投資にかかった費用は数年で回収できる。
加えて、ゴルフ場に欠かせない乗用カートの動力源となる電気の充電にも安い深夜電力を利用することでコストダウンが実現できるというから、ゴルフ場にしてみれば、見逃せないシステムなのだ。
「私どものゴルフ場も開場から30年が経過し、ボイラーの老朽化が顕著になっていた時、エコキュートの存在を知りました。当クラブとしても、効率的に経費が削減でき、しかも社会的にも地球温暖化の防止に貢献できるシステムということで導入を決断しました」(伊豆大仁CC・上口秀一支配人)
同CC以外のゴルフ場でも、経費削減や地球環境保全に配慮した、さまざまな取り組みをしているところがある。
例えば、栃木CC(栃木)では、この4月に浴室をリニューアルしたが、その際、従来1つだった湯船を2つにし、来場者が少ない日は1つだけを利用するようにして重油の節約を図っているし、葉山国際CC(神奈川)では、資源の再利用の観点から食堂の割り箸を廃止し、使い捨てではない箸を利用するようにしている。
現在、全国のゴルフ場でエコキュートを採用しているのは伊豆大仁CCだけだが、上口支配人は、「先日、伊豆地区のゴルフ場支配人の集まりがあった時、エコキュートに関していろいろと質問されました。皆さん、このシステムには大きな関心を持っているようです。今後、導入するゴルフ場が増えてくるのではないでしょうか」
今や省エネ、省コストが求められる時代。今後、エコキュートがさらに普及することは間違いなさそうだ。
|