10年で38億3000万円もの税金が投入される千葉市民ゴルフ場だが、同ゴルフ場を運営する指定管理者選びが、“不可解な形”で決まりそうだ。本誌発売日の6月24日、千葉市議会本会議で与党側の賛成多数により決定の運びとなった。数々の疑惑を残しながらも、今年10月オープンする予定だ。
当初選定された京葉CCと内山緑地の共同企業体が、日本プロゴルフ協会(PGA)内の混乱により、33年ぶりの議案撤回を受け再審査が行われたが、結局この企業体が再選定された。
これを受け6月11日、同市議会で議案質疑が行われた。
質問に立った共産党の野本信正議員は、今回の再提案で何を反省したのか厳しく追及する。
選定された企業体をバックアップしていたPGAの存在の大きさを指摘。PGAが出したといわれる「関心表明書」が決定の決め手になったはずなのに、撤退表明が行われると、これが評価の対象にはならないとの見解に疑義を示した。
また、選定委のメンバーのなかに、ゴルフ場経営の専門委員が1人しかいない選定委のあり方にも疑問を呈した。これでは市の職員の多くで占められた選定委の決定が、公平だったか疑いを持たれても仕方がない。
続いて質問に立った市民ネットの常賀かづ子議員も同様な指摘を繰り返したが、市側は「適正な構成」の一言で片付けるばかり。
最後の質問者は民主党の今村敏明議員。市側が出した再選定の理由について、十分な説明がないこと、応募し選定に漏れた他の8団体と比較し何が優れていたのか。そこが不明として、説明を求めたが、ただ優れていたと鸚鵡返しの回答ばかり。
選定委の構成について、専門性がないのにもかかわらず、新たに再審査する段階でなぜ委員の入れ替えを行わなかったのか。市側は最後まで納得できる回答を成しえなかった。
市側は、PGAのみを悪者にしているが、本当にそうなのか。確かにPGAは胡乱(うろん)な動きだったが、市側は自らの動きとその説明について、終始説得力に欠けていた。
議案質疑に続いて翌日行われた常任委員会では、与党自民党の2議員も「この決め方はおかしい」と発言したものの結局本会議に上程される。
本会議で反対質問に立つ熊谷俊人議員(民主)は言う。
「莫大な税金が使われる事業だけに、選定のプロセスは大事だ。千葉市の納税者からの、そして、市議会の信頼は大きく揺らいでいる。この議案が本会議で簡単に決まれば、これほど残念なことはない」
10年間で40億円に近い税金が投入されながら、指定管理者は収入の1割を市に上納するだけで、うま味は大きい。
多くの人たちの期待を受けて計画された「千葉市民ゴルフ場」だが、スタート時からつまずきつつ、今秋オープンとなる。今後の動きに注目したい。
|