庶民にはなかなか手が出ない1本20万円以上もするドライバーや1セット50万円以上のアイアンセットなどの高額クラブ、いわゆるスーパープレミアムクラブが静かなブームとなっている。この世界では先駆けとなったマルマン・マジェスティがよく知られたブランドだが、この牙城を狙った顧客囲い込みの動きが活発化してきた。
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キャロウェイは日本モデルのレガシーで富裕層対策
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スーパープレミアムクラブの市場規模は推定で年間40億円前後。石川遼との契約で、今注目のヨネックスの今期のゴルフ部門の売り上げ目標が約30億円ということと比較しても、その規模が小さくないことが分かるだろう。
このスーパープレミアムクラブの先駆けといえるのが96年から発売されているマルマンのマジェスティだ。いまでは、シューズからキャディバッグ、ボールまでトータルで揃うブランドに成長している。ユーザーも頭のてっぺんからつま先までマジェスティ一括買いで揃えるところに“ユーエツ感”を感じているようなのだ。
「スーパープレミアムクラブの市場は、ゴルフ市場全体からすればせいぜい3~4パーセント程度ですが、可能性を秘めている市場だと思いますね。我々メーカーとしてはクラブを売りっぱなしではなくて、きちんとフォローをしてファンを作っていかなければなりません。その点、マジェスティはユーザーが限定されますので、その分、ユーザーとのコミュニケーションが取りやすく、フォローしやすいクラブであるとも言えますね」(マーケティング部副部長・桑木野洋二さん)
同社ではマジェスティを購入したゴルファーを対象にオーナーズクラブを組織。現在3万人の会員がおり、購入時やホールインワン&エージシュート達成時の記念品贈呈、コンペの開催、マガジンの発行など、さまざまな特典が受けられる。
マジェスティと並んで、富裕層に人気の、Sヤードの最上級モデル、アクロクラスを展開しているのがセイコーエスヤードだ。こちらも、クラブリフレッシュなるヘッドの塗り替え、グリップ交換などを無料で行うサービスが付いている。さらにこの春より初めて女性用シリーズ、センフィナをラインナップするなど、力を入れている。
一方、積極的に富裕層の取り組みを図る社もあれば、比較的静かに見守っている会社もある。
例えば、ミズノは、「当社にもグランドモナークというスーパープレミアムクラブがありますが、ユーザーが限られた層ということもあり、特にこれといった販促はしていません」(広報室・西田維作さん)というし、
SRIスポーツは、ゼクシオ人気の余裕からか、「今のところ、富裕層向けのクラブは扱っていませんし、今後もやる予定もありません」(広報グループ課長・山田照郷さん)と、いたってクールだ。
こうしたなか、キャロウェイゴルフが富裕層に向けた新ブランド、レガシーを立ち上げた。日本モデルのレガシーを購入するとレガシークラブに会員登録でき、会員限定のネームタグがもらえたり、コンペや試打会などに参加できるというもので、この6月18日には東京・白金で第1回会員の集まり「レガシーナイト東京」を開催、盛り上がったという。
「レガシークラブの趣旨は日本モデルを買ってくださるユーザーを大事にしようということ。広く一般に公開されたイベントではなく、メンバーだけのイベントを行うことで、メンバーに特別感を味わってもらいたいと思っています。
また、当社は直営店を持っていませんので、ユーザーと直接接する機会がありません。そこで、クラブを通じてユーザーの意見を聞き、顧客情報を得たり、製品づくりに役立てたいとも考えています」(マーケティングディレクター・庄司明久さん)
優良顧客を囲い込み、情報収集を狙ったこの動き、しばし注目といったところだ。
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