年々低くなる日本女子アマ出場者の平均年齢は20.18歳。なかでもジュニアゴルファーは小学生の出場はいなかったものの中学生は17人で、高校生と合わせると64人。エントリーした136人の半分近くを占める。そんな低年齢化の進む大会のなかだが、30代以上の選手が15人(最高齢は50歳の三木逸子)も気を吐いた。出場者の1割ながら経験の長さが光るプレーを見せてくれた女傑たちにスポットを当ててみた。
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強い10代の筆頭、優勝した森桜子
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初出場者が多いのも特徴だが、意外な傾向もある。48歳の西村美雪や、39歳の水野真由美のように、ミドルエージで初参戦という選手がチラホラいるのだ。高校卒業後、すぐにプロに転向する若手が多い影響で、中間層が薄くなっているからだろう。20代の選手が年々減っている(今年は27人)のも、それでうなずける。
このようなトップアマの低年齢化は、同時に女子ゴルフの底辺が拡大の証明でもある。競技ではなくゴルフを楽しむ女性が増える一方で、数少ないプロスポーツがある女子の競技として、頂点を目指す者が増えたということだからだ。
当然ながら、ティーンエージャーに混じって、年配の選手がプレーするケースもあった。前出の西村は、バレーボールの国体出場経験者で、子供が手を離れた33歳からゴルフを始めた。同伴競技者は、15歳の実力者、青木瀬令奈と18歳の野村美優。
マッチプレー進出はならなかったが「目標にしてきた大会ですが、やっぱり飛距離が違うのでロングアイアンを使わなくてはならないのがきつい。でも、若い人たちと明るく楽しく回れました」と声を弾ませた。
2日間のラウンドが終わった後には、若者たちに「どうもありがとう。これからも頑張ってね」と、携帯ストラップをプレゼントする心遣いをみせていた。
マッチプレー進出の32人中最高齢は31歳352日の西山敦子。その次に年齢が高いのは、原田沙織の25歳212日。これを見れば、若い選手だらけのなかに、30歳超の西山が残ったことはよく健闘したともいえる。11人が4つの枠を争うプレーオフ3ホール目にバーディを奪い、最後のマッチプレー切符を勝ち取ったが「本当に若い子ばかりですね」と苦笑する。
それでも、経験の長さを武器に「短いもの(ショートゲーム)だったり、パットだったり、自分なりに勝負できるものでやります。試合の緊張感を楽しみたい」と、意欲を燃やしていた。
また、今回は、日本ゴルフ協会(JGA)が大会を主催し始めてから50回目の開催ということで、記念セレモニーが行われた。
中高生の“正装”である制服姿が、大会前日の名門・廣野ゴルフ倶楽部のハウスにあふれるのに交じり、都合のついた歴代優勝者が集った。そこでは、第3回大会(61年)優勝の鈴木信子と、JGAが 主催する以前の57年大会に勝った小坂旦子(あさこ)が品のある貫禄を見せていた。
プロ転向が当たり前のような現代の風潮とは違い、アマチュアでゴルフを続けた2人は「やりすぎで股関節を痛めてしまった」と苦笑して声を揃えるほどその魔力に取り憑かれた。
生涯スポーツとして親しまれ、人生の友となるゴルフ。ティーンエージャーから、ミドルエージまでが活躍する日本女子アマと、その50年の歴史はゴルフの楽しみ方の縮図そのもの。女性ゴルファーが増える昨今、その礎はしっかりと築かれている。
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